●また,骨の形態不整(骨隆起や段差)があると剥離子を骨面に沿わせて進めることができず,経験の浅い術者は大いに焦ることになる.●その際に,力ずくで剥離子を無理にえぐって剥離を進めると,骨膜が剥離されず部分層弁となってしまったり,フラップを損傷させてしまうことになる.●これを回避するためには,骨縁下欠損がない場所で骨面をクリアに露出させ,そこを剥離の起点として根尖側方向に剥離を進める.●そして骨縁下欠損が存在する部位では,根面に向けた水平方向の切開(Widman改良法の3次切開に相当する切開)を追加してフラップと骨縁下の組織を離断すると,あとは剥離子を滑らせるだけで容易にフラップを作成することができる.●リグロスを用いた再生療法を成功させるためには,骨縁下欠損部を覆うフラップをできるだけ損傷の少ない状態で作成することが重要なキーポイントの1つとなるので,このテクニックは習得しておかなければならない.骨表面フラップと骨縁下の組織が繋がっている部分(網線部)をメス等で切離しながら剥離する.垂直性骨欠損図11 切開・剥離のキーポイント.フラップと骨縁下の組織が広い面積でつながっている場合,フラップが簡単には開かないことがある.その場合,骨縁下欠損がない部位に剥離の起点を求め,骨面が完全に露出したところから根面に向けて水平方向に切開を加えると,容易にフラップを作成することができる.また骨に形態不整があってフラップが開かない場合は,骨膜を損傷させないように剥離子の角度を注意深く骨面に合わせ,段差を乗り越える.78切開・剥離のキーポイント●4壁性の骨欠損やヘミセプター状(1壁性)の骨欠損が存在する場所では,フラップと骨縁下の組織が広い面積でつながっていて,フラップが簡単には開かないことがある.
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