薬YEARBOOK
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図1 急性偽膜性カンジダ症。脳梗塞で加療中の女性。左右頬粘膜、口蓋粘膜に偽膜様白苔を認めた。白苔は拭って除去可能であった。表1 口腔カンジダ症に対する治療薬カンジダ関連疾患1)正中菱形舌炎 舌背正中部(後方)に菱形ないし楕円形の境界明瞭の班として認められる。病変部は周囲より陥凹しているものと腫瘤状に隆起しているものがある。図2 慢性萎縮性カンジダ症。上下顎総義歯装着患者。義歯装着時の疼痛を訴えていた。義歯床下粘膜に広範囲の発赤が見られ、疼痛を有していた。患者がシェーグレン症候群にともなう口腔乾燥症で通院中であった。口腔カンジダ症の治療 現在、口腔(咽頭)カンジダ症に保険適応のある薬剤は、ミコナゾール(フロリードゲル経口用、オラ23ミコナゾールイトラコナゾールアムホテリシンB一般名フロリードゲル経口用2%オラビ錠口腔用50mgイトリゾール内用液1%ハリゾンシロップ100mg/mLファンギゾンシロップ100mg/mL主な製品名1日10~20gを4回に分け、毎食後+寝る前に口腔全体に薬を塗布した後、飲み込む。7~14日間使用(内服薬)1回1錠を1日1回、上顎歯肉(犬歯窩)に付着。14日間使用(外用薬)1回20mLを1日1回、食前に口腔全体に薬を行きわたらせた後、飲み込む。7日間使用(内服薬)1回1mLを1日3回、毎食後口腔内全体に薬を行きわたらせた後、飲み込む。8日間使用用法および用量3)慢性肥厚性カンジダ症 偽膜性カンジダ症の慢性化したタイプで白苔が剥離しづらくなり、粘膜上皮の肥厚と角化の亢進を示すようになる。この白斑の表面は凹凸不整で白板症との鑑別が必要である。時として悪性化することがあるので注意が必要である。2)口角炎 左右の口角部が割れて発赤やびらんが生じた状態で発症にはカンジダが関与している。3)口唇炎 口唇皮膚が剥離した剥離性口唇炎の状態として認められることが多い。副腎皮質ステロイドの長期使用者や難治性の口唇炎ではカンジダ感染を疑う。薬 YEARBOOK '24/'25PART1 高齢者に多い口腔粘膜疾患と治療薬

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