超速でわかる象牙質知覚過敏症
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1ba象牙細管内では,つねに歯髄から外側へと歯髄液(象牙細管内液)が流れています.歯ぎしりなどで歯がすり減り象牙質が露出歯ぐきが下がり歯の根の象牙質が露出象牙細管歯髄液歯ぐき象牙質象牙芽細胞歯髄図1 歯の断面の模式図.青で囲んだ部分は,歯ぐきが退縮したことで,象牙質が露出している状態を示しています.図2b 露出した象牙細管の電子顕微鏡写真.エナメル質歯ぐき歯根膜歯槽骨(あごの骨)図2a 象牙質がむき出しになり,象牙細管が露出した状態を示す模式図.象牙細管の内部には,歯髄液が存在しており,歯髄から外側に向かって流れています.CHAPTER 1 患者さんと歯科衛生士のための象牙質知覚過敏入門10歯髄(神経)象牙細管が露出するエナメル質PART 1 知覚過敏が生じるしくみ象牙細管の露出と,象牙細管内液 歯を断面にして見てみると,中心に「歯髄」があり,それを覆うように象牙質とエナメル質があります(図1).歯髄は,いわゆる“歯の神経”のことで,神経とともに血管などからつくられています. 歯髄からは,象牙質に向かって微細な管が無数に伸び,その管を通って栄養が象牙質に送られていきます.この管が「象牙細管」で,管の内部は象牙細管内液(歯髄液)という液体で満たされています(CHAPTER 2〜5でくわしく). 歯ぎしりなどで歯の表面がすり減る(咬耗),強い歯ブラシで歯がすり減る(摩耗),あるいは歯周病などで歯ぐきが下がると,今まで隠れていた象牙質がむき出しになり,象牙細管が露出します.この露出した象牙細管が,知覚過敏(象牙質知覚過敏)に大きく関わっていると考えられています(図2).象牙質象牙細管歯の象牙質全体に分布する,直径0.8~2.2マイクロメートルの細い管.象牙質内には,無数の象牙細管が歯髄から放射状に伸びています.管のなかには象牙芽細胞と組織液(歯髄液)が含まれ,これらが象牙質をつくり維持しています.

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