これまでの骨造成、これからの骨造成
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図1-a 58歳女性。インプラント埋入時にはインプラント体は完全に骨内に埋入されている。しかし、頬側骨は非常に薄いことが確認される。図1-b 11年後の状態。インプラント体こそ露出しているが、患者と歯科衛生士の努力によって健全な状態は保たれている。1988年 広島大学歯学部卒業、広島大学歯学部口腔外科第一講座1996年 石川歯科開業米国歯周病学会(AAP)、日本臨床歯周病学会指導医、5-D Japanファウンダー、OJ相談役abじて使い分ける必要がある。中でも、チタンハニカムメンブレン(モリタ社、以下ハニカムメンブレン)は三次元的な賦形性にすぐれ、扱いやすい。近年、部位ごとのフラップの減張テクニックに対する知見が深まり、より安全に処置を進められるようになったと思われる。 しかし、GBRは母床骨から骨伝導を期待する処置であり、母床骨からの距離が遠くなれば骨再生のハードルは高くなる。術者が完璧な処置をしても患者の治癒能力が不十分であれば、膜下のスペースがすべて骨で満たされない可能性があり、この場合術後の吸収となって現れる。本稿ではGBRの効果と治療結果を長期的に安定させるために何ができるのかを症例を通して検討する。58石川知弘Tomohiro Ishikawa静岡県開業はじめに インプラント治療は咀嚼機能、発音機能、審美性の回復および残存歯の負担軽減による延命に関して、他の補綴方法と比較して明らかなアドバンテージを有する。しかし、欠損部においてそれをサポートする骨が存在することが前提で、実際の臨床では4mmのスーパーショートインプラントでさえ埋入が困難な場合がある。また、たとえ骨内に埋入できたとしてもわずかに残った骨は治癒期間中、長期的に吸収する可能性があり、ラフサーフェスが口腔内に露出した場合、インプラント周囲炎のリスクが高まる。前歯部においては審美性を得るために軟組織のマネジメントを併せて歯槽堤を再建することが求められる。 GBR(骨再生誘導法)は骨造成処置の中でもっともポピュラーで、多くの研究によって三次元的な骨再生が可能であることが示されている。これまでに外側性GBRのスペース維持のためにソーセージテクニック、クロスリンクコラーゲン膜、チタンメッシュ、非吸収性膜が開発されている。それぞれ長所短所があり、臨床状況に応骨造成の重要性 インプラントがスレッドの露出なしに骨内に埋入されたとしても、唇側の骨幅が薄いと(1.5mm未満)その骨は骨膜を剥離されたことにより外側からの血液供給が遮断され、またインプラント埋入によって海綿骨からの血液供給も減少することにより存続することができなくなシンポジウム2三次元的GBRの臨床的効果と長期安定性の検討

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