₅₄₃図1 患者は2002年初診の70歳女性。₅₄₃欠損部の強拡大。図2 同部位のCT画像。インプラント埋入には骨幅が不足している。1982年 鶴見大学歯学部卒業1986年 日高歯科クリニック開業鶴見大学歯学部臨床教授、日本臨床歯科学会(SJCD)理事・Fellow、OJ副会長機能と審美性において満足する補綴がインプラントにより支持されなければならない」という一文が採択され3、インプラント周囲組織を何らかの方法で審美的に構築する努力が必要となり、現在に至っている。 失われたインプラント周囲組織を造成するには骨(硬組織)、軟組織の造成があるが、本稿では今回のテーマである骨の造成について考察する。32日髙豊彦Toyohiko Hidaka東京都開業はじめに Brånemarkらにより始められた骨性結合型インプラント(osseointegrated implant)は、当初下顎総義歯の難症例を適応として1965年に臨床応用が始まった。最初の症例は脛骨にインプラント埋入後、インプラントを含む移植片を下顎骨に移植するという方法がとられ1、1970年に下顎骨への腸骨移植と同時にインプラントを埋入し、口腔内でインプラント埋入が行われるようになった2。筆者が1989年にイェテボリ大学(スウェーデン)に併設されたBrånemark Clinicを見学した際も、腸骨移植同時インプラント埋入症例を複数見学した。このように骨性結合型インプラントは当初から自家骨移植を併用する術式が一般的であった。その後、先人たちのさまざまな挑戦と成功報告により適応症が拡大された。また、1998年にトロント大学で行われたコンセンサス会議で成功基準の決定要素に「治療結果は患者と歯科医師双方が、骨造成の経過 図1は初診2002年時70歳女性の₅₄₃欠損である。インプラント埋入を計画したが、残存骨の状況(図2)から粉砕自家骨と非吸収性チタン強化膜を用いたGBR(guided bone regeneration:骨再生誘導法)を行った(図3〜5)。1年後に二次手術と同時に非吸収性チタン強化膜の除去を行い、骨と思われる造成を目視にて確認し(図6)、2007年に修復治療を終了した(図7)。手術かシンポジウム1骨造成と骨造成材料の臨床知見粉砕自家骨と非吸収性チタン強化膜にてGBRを行った症例(図1~8)
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