これまでの骨造成、これからの骨造成
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 2023年年次ミーティングの2日目、Bahat氏の第一部講演と第二部講演の間の時間を利用して、当会会長の松島正和氏と副会長の日髙豊彦氏をインタビュアーとして緊急で設けられた鼎談の内容を、特別講演レポートの補足としてここに収録する。(編集部)骨がなくても軟組織だけで十分な場合もあります。解決には時間を要するという趣旨の第二部の講演をご覧いただければおわかりになると思いますが、それが多くの皮膚を残す理由です。皮質骨と海綿骨を含む混合骨があり、その上に軟組織、表層に皮膚があります。どんな部位でも同じです。一層では成立しません。審美領域の大きな欠損やインプラントの配置の問題を解決するのは難しいことです。2年、5年、10年後に何か起こるかもしれません。5年間、非常に良好な状態だった部位に突然炎症が起こることもあります。骨移植した箇所だけでなく、すべての部位のインプラントにあてはまることです。顔の骨量や軟組織が変化しているからです。 私がインプラントについて考えていることを、海に立つ灯台のように理解してほしいのです。船が灯台に着く時、海はいつも静かで灯台もいつも同じように見えます。しかし患者は嵐が来るように突然老け始めます。そうすると灯台が異なって見えます。灯台はインプラントです。これが今の私の考えです。27Oded Bahat×松島正和×日髙豊彦患者の変化は突然訪れる日髙:日本では30年前からインプラント治療のためにもっとも古い骨造成方法として自家骨移植が行われています。そして20年前からわれわれはGBRを始め、骨造成のために多くの材料を使用するようになりました。現在、Bahat先生の診療室で行われている骨造成の方法や材料の割合を教えていただけますか?Bahat:それは私の講演の第二部にも関連していますね。患者の顔面は変化していくため第1層(内層)の自家骨移植だけを考えて骨造成を行ってもうまくいきません。私は骨と骨を密着させて、内層が強靭になるようにつねに心がけています。第2層(中間層)は同種骨と異種骨移植です。そして第3の層(最表層)は、結合組織などの軟組織となります。これらの1つひとつを確認することで時間を、つまり長期的に安定した結果を獲得できるのです。 特に審美領域におけるインプラント治療では細心の注意を払います。私たち人間には皮膚と組織が必要です。特 別鼎 談骨造成とエイジング

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