必ず上達 歯肉移植FGG・CTG
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CHAPTER 2図2 1の検査・診断の結果は以下のとおり. ・Millerの分類:ClassⅡ ・Cairoの分類:RT1辺縁歯肉の厚みは薄く,リセッションは5mm,角化歯肉幅は2mmである.CEJが確認でき,NCCLは存在しない.図1 初診時口腔内.1に歯肉退縮および2にフェネストレーションが認められる.FGGとCTGの実践上顎前歯部の歯肉は審美性に直結するため,患者から審美性回復の治療を求められることが多い.結合組織移植術(Connective tissue graft:CTG)は歯肉退縮部へ行われるが,歯肉退縮の原因として①不適切なブラッシング,②咬合性外傷,③歯槽骨のハウジングからの逸脱が挙げられ,特に上顎前歯部では①,②を原因とした発症が多くなる.そのためCTGを行う前にそれらへの対応が不可欠である.①に対しては適切なブラッシングストロークとブラッシング圧の習慣づけ,②には早期接触やフレミタスの改善のための咬合調整などである.③に対しては矯正治療の検討が必要になることもある.本CHAPTERでは,12部の歯肉退縮の審美性回復を目的にCTGを行った症例(図1〜10)を通じて,その実際を解説する.PART 342参考文献1.StefaniniM,MarzadoriM,ArocaS,FeliceP,SangiorgiM,ZucchelliG.Decisionmakinginroot-cov-erageproceduresfortheestheticoutcome.Periodontol2000.2018Jun;77(1):54-64.歯肉の評価事項として,歯肉退縮,辺縁歯肉の厚み,角化歯肉幅の診査,また歯の評価事項として,CEJが確認できるかどうか,NCCLの有無について検査する.深さ0.5mm以上のNCCLがあり,CEJが確認できない場合については術前の修復処置により仮想のCEJを回復する必要がある.Stefaniniらによる審美エリアの根面被覆についてのディシジョンツリー1に則ると,角化歯肉幅が2mm以下,かつ辺縁歯肉の厚みが1mm以下と薄い症例では,多くの場合,歯肉弁歯冠側移動術にCTGを併用した根面被覆術を検討することになる(50頁参照).検査・診断(図1,2)歯肉退縮部位の診断として,Millerの分類,Cairoの分類(15頁参照)が挙げられる.Millerの分類:ClassⅠ,ⅡないしCairoの分類:RT1,2(退縮量5mm以下)であれば,歯肉退縮の完全被覆が可能とされており,Millerの分類: ClassⅢ,Ⅳないし退縮5mm以上のCairoの分類: RT2,RT3については完全被覆が困難である.上顎前歯部におけるCTGの実践

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