必ず上達 歯肉移植FGG・CTG
3/4

CHAPTER 1図2 供給側.受容側が左側のため,供給側も上顎左側臼歯部を選択した.FGGとCTGの実践例(図1〜16)を通して,その実際を解説する.供給側では,根管治療で用いるリーマーやファイル,または浸潤麻酔の注射針にリーマーストッパーを付けたものを上顎口蓋側の歯肉に刺入し,その厚みを確認する.FGGの移植片は主に1.0~1.5mmであり,薄い歯肉の部分があれば,その部分を避けるように切開を計画する(図2).また,視診,触診により大口蓋孔の位置を確認しておく.遊離歯肉移植術(Free gingival graft:FGG)は多数歯にわたり角化歯肉の増大を図ることができ,比較的成功率が高い術式といえる.角化歯肉がほとんどない,もしくは口腔前庭が狭くセルフケアが困難な場合に適応する術式である.一方,手術部位が2か所になることと供給側が開放創となることから,術後の患者の不快感が大きくなる可能性がある.また多くの場合,受容側周囲歯肉と移植部とで色調や形態の不調和が生じることから審美領域には適応しにくい.インプラント周囲に角化歯肉が必要な症例では,インプラント二次手術と同時にFGGを応用できる.本CHAPTERでは,6部インプラント二次手術と同時に角化歯肉の増大を目的にFGGを行った症PART 336図1 術前の口腔内(受容側).5部では最深プロービングデプスは3mmで歯肉退縮は認められないが,角化歯肉幅は1mmでセルフケアが困難であった.また,7部のプロービングデプスは2mmで角化歯肉幅は4mmであった.6部のインプラント二次手術にあわせてFGGを行うことを計画した.検査・診断術前の検査と診断において,受容側ではプロービングデプス,BOP(Bleeding on probing)を確認する.そしてプラークコントロール,角化歯肉幅,口腔前庭の深さを確認し,患者自身による術部のセルフケアが可能かどうかを判断する(図1).また,術部の歯の歯肉退縮量,歯間乳頭の高さ,歯の位置,根面の状態,歯根の突出,不良修復物の有無を確認する.FGGの実践

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る