ここ重要! なお,ラバーダム防湿を行っている場合は,隣接面部のラバーダムが補綴装置と干渉していないかを確認しておく.試適時にこの確認を怠ると,最終装着時に支台歯と補綴装置が適合しない.ラバーダム防湿を行っていない場合は,PVR製作時と同様,②の評価時に歯肉が貧血し,その後に回復されることを確認する. 図4-33は,製作された接着ブリッジのポンティック基底面がわずかにオーバーカントゥアとなっていることが試適の際に判明し,欠損部顎堤基底面と適合しなかった症例である.このような場合は,顎堤の歯肉切除術を再度行うか,ポンティック基底面の形態修正を行った後に装着操作へと移行する. 接着とは,被着体に化学的に作用する化合物,材料を用いる結合方法で,その材料にはレジン系装着材料が用いられる4-16,17.レジン系装着材料を硬化させる重合形式には光重合と化学重合があるが,近年はその両方を併せ持つ,いわゆるデュアルキュア型接着性レジンセメントが多く用いられ,通常のインレー修復やクラウン・ブリッジ補綴においてはその利便性が高い.しかし,デュアルキュア型接着性レジンセメントを用いて装着を行う場合,重合が進みすぎると余剰セメントの除去が困難になるため,装着時の途中で一度,レジンセメントをわずかな光照射で“半硬化状態”(タックキュア)とし,インスツルメントやデンタルフロスなどを使用して余剰セメントを大まかに除去する必要がある. 接着ブリッジにおいても,それらの接着性レジンセメントを使用する図4-31 接着ブリッジポンティック基底面をオベイト型にした場合,その試適や装着時に欠損部顎堤基底面の粘膜の被圧変位により補綴装置が歯冠側(切縁側)に押し戻す力(図内黄矢印)が働く.そのため,筆者の場合,その固定のみに徹し,接着ブリッジの試適時に行う実際の操作はアシスタントに行ってもらっている.図4-32 遠心カンチレバーの補綴装置の試適で,その固定を手指で行う場合,右利きの術者であれば,左手の人差し指で接着ブリッジを押さえると,ポンティック部と反対側同名歯との色,形態の評価が行いやすい.1リテーナーオールセラミック接着ブリッジ臨床ガイドポンティック基底面をオベイト型にした場合の接着ブリッジ試適,装着時のポイント4-7-2.装着材料の選択126ラバーダム防湿を行っている場合は,隣接面部のラバーダムが補綴装置と干渉していないかを確認.
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