1リテーナーオールセラミック接着ブリッジ臨床ガイド
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支台歯形成印象採得プロビジョナルレストレーション歯科技工士への技工指示ポジショニングスプリントの製作装着準備装着咬合調整メインテナンスここ重要!ここ重要!4-7-1.試適 一般的に,補綴装置の装着には合着と接着の2つがあり4-16,通常のクラウン・ブリッジ補綴において,二ケイ酸リチウムセラミックスを補綴装置材料に用いた場合はかならず接着を行い,ジルコニアセラミックスが選択された場合は合着と接着を個々の臨床状況によって選択できる. しかしながら,接着ブリッジにおいては,そのいずれの材料を用いても最大の接着力を発揮させて装着する必要があることから,接着が必須となる.そして,接着ブリッジはその名のとおり“接着”に依存した補綴装置であるため,その装着操作はとりわけ重要で,その良否が予後を左右すると言っても過言ではない. 接着ブリッジの装着時は,通常のクラウン・ブリッジでは行われないことが多いラバーダム防湿を必要に応じて行ったり,また状況によってはポジショニングスプリントも使用する場合があり,その操作は煩雑かつ難易度が高い. 本項では,接着ブリッジの装着に対しての事前に行っておくべき,あるいは準備しておくべき事項や材料選択について解説する. 接着ブリッジの最終装着当日に行う試適は,その後の装着操作やその治療の良否を左右するきわめて重要な治療工程である.試適時の評価項目は,従来のブリッジと同様,①支台歯と補綴装置との適合精度,②ポンティック基底面と欠損部軟組織との適合精度,③コンタクト圧,④歯冠色,⑤歯冠形態となる.このうち,②はデンタルフロス,③はデンタルフロスやコンタクトゲージを用いるが,当然のことながら,その評価は最終装着されるべき位置で行わなければならない. しかしながら,先述したようにポンティック基底面をオベイト型にした接着ブリッジの装着時には,欠損部顎堤基底面の粘膜の被圧変位により補綴装置が歯冠側(切縁側)に押し戻す力が働き(図4-31),これは試適時も同様のため,試適時の間中,ポンティック部を手指あるいは後述するポジショニングスプリントで軽く押して,同粘膜部に圧力をかけて固定し続けなければならない. そのため筆者の場合,試適時に必要とされる上記②や③の実際の操作はアシスタントに行ってもらい,術者(筆者)はその固定に徹して,それらの操作を目視で確認することが多い. なお,試適時や装着時の固定を手指で行う場合,右利きの術者であれば,右手人差し指で接着ブリッジに圧をかけて口腔内で固定し続けることが多いが,たとえば遠心カンチレバーの症例などで右手人差し指で接着ブリッジを押さえてしまうと,試適時に手指が術野に入り,目視での十分な確認ができない.そのような場合は,図4-32のように利き手ではない左手の人差し指で接着ブリッジを押さえるとよいだろう.CHAPTER4 1リテーナーオールセラミック接着ブリッジの治療の実際125接着ブリッジにおいては,最大限の接着力を発揮させて装着する必要があることから,ジルコニアセラミックスをそのフレームワーク材料に用いた場合でも合着ではなく接着が必須となる.接着ブリッジにおいて試適は,その後の装着操作やその治療の良否を左右するきわめて重要な治療工程である.4-7.装着準備

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