TQ別冊YEARBOOK2024
6/6

a図8a,b 最終硬化までに,デザインナイフや金冠バサミを用いて,可能な限りていねいにトリミングを行っておくことが大切である.PART 2 外来での義歯ケア・ホームケアb130別冊the Quintessence 「YEARBOOK 2024」気泡をかなり減少させることができる.5)リライン材の盛り上げ(図6) リライン材の盛り上げは2段階で行うとよい.まず,脱泡直後にフローの良好な状態で全体的に薄く一層盛り上げ,確実に床部と気泡なく馴染むようにしておく.その後,フローが落ち着き,ある程度,賦形性を有するようになってから,不適合の程度に応じて必要な量を盛り上げる.6)口腔内への挿入と圧接(咬合) 適切なフローになっていることを確認してから口腔内へ装着し,レストが確実に適合するまで圧接したのち,咬合関係が大きく変わらない程度まで咬合させる.その際,すれ違い咬合など義歯が沈下し,偏位が大きく生じやすい症例では,とくに咬合力に注意が必要である.あくまで,軽く咬合させることが重要となる. なお,その際,術者の手の甲にもリライン材を少図7 術者の手の甲にもリライン材を少し築盛しておくことで,リライン材料の硬化程度を確認することができる.し築盛しておくことで,リライン材料の硬化程度を確認することができる(図7).7)硬化待機中の脱着 材料の硬化程度を確認しながら,軽く触れても形が容易に変わらない程度まで硬化が進んだ時点で,義歯を数回脱着して確実に取り外せるかどうかを確認しておく.また,その時点で大きなアンダーカットがある部位は取り除いておく.そして,完全に硬化する前に口腔内から撤去しなければ,口腔内から外せなくなる危険性があるので注意が必要である. ただし,近年販売されている光硬化型のリライン材であれば,そのような危険性を大きく低減させることができるので推奨したい.8)余剰部分のトリミング(図8a,b) 撤去後はなるべく早期に,デザインナイフや金冠バサミを用いて余剰部分をトリミングしておく.その際,デザインナイフの刃は必ず交換し,よく切れ図6 リライン材のフローを確認しながら,適切な量を盛り上げる.とくに不適合な部位には,ある程度フローが落ち着いた状態で盛り上げるほうが作業が行いやすい.

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る