義歯安定剤について23外来での義歯ケア・ホームケア咬合前咬合後PART別冊the Quintessence 「YEARBOOK 2024」59○薄く広がっている×薄く広がらないクリームタイプ図11a 義歯安定剤の義歯床での広がり.義歯安定剤を塗布した義歯を咬合させたのち,口腔内よりただちに取り出したところ.クリームタイプと粉末タイプの義歯粘着剤は義歯床に薄く広がっているが,ホームリライナー(クッションタイプ)は均等に広がらない.義歯粘着剤粉末タイプシートタイプホームリライナークッションタイプ義歯の場合,義歯床粘膜面に適当な間隔を空け,クリームタイプ義歯安定剤を2~3か所,それぞれ小豆程度の量を塗布する(図12).塗布量は3cm以内で,基本的には1日1回の塗布とする.水で口腔内をすすぎ,本剤を塗布した義歯を口腔内に装着する.そのまま1分間咬合させておく. 最近,ノズルを極細にした製品も市販されている(図13a,b).義歯床の顎堤頂相当部に渡り塗布する(図14)が,最初は少量から使用するよう指示する.通常ノズルに比べ,広く均等に広がるため,より適合性が向上し,さらに使用者による塗布のしすぎを防ぐことができる. 就寝時,義歯を取り外した後,口腔内に残留した義歯安定剤はガーゼなどで拭い取る.義歯に付着した義歯安定剤は,流水下で義歯用ブラシを用い取り除く(図15).その後は,義歯洗浄剤に浸漬し,義歯の化学的洗浄を行う.3)粉末タイプ義歯安定剤の正しい使い方 まず,義歯を水洗いし,水分がある状態で適量,粉末タイプ義歯安定剤を義歯床粘膜面に振り掛ける(図16a,b).余分に振り掛けた場合は,義歯を軽くたたいて振り落す.ついで本剤を塗布した義歯を口腔内に装着し,しばらく咬合させておく.就寝時,義歯を取り外した後の口腔内と義歯の清掃方法は,クリームタイプと同様である. なお,粉末タイプは,振り掛けた粉と水の量の割合により粘着性がかなり異なってくる.そのため,粘着性を一定に保つのは難しいかもしれないが,慣れれば状況に応じて粘着力をコントロールすることができる.たとえば,患者によってはクリームタイプほどの維持力を必要としない場合,現義歯の維持力を若干増やす程度に調整している方もいる.4)シートタイプ義歯安定剤の正しい使い方 まず,義歯を水洗いし,乾いた手で袋からシートを取り出す.シート全体を水に一瞬浸し,隙間ができないよう義歯床粘膜面に圧接する.義歯の形態に沿って余分なシートをハサミで切り除去する.ついで義歯を装着ししばらく咬合させておく(図17a〜d).
元のページ ../index.html#3