5.義歯安定剤(義歯粘着剤)の正しい使い方4.義歯安定剤の市販状況PART 2 外来での義歯ケア・ホームケア58別冊the Quintessence 「YEARBOOK 2024」粉末タイプ,シート(テープ)タイプ,その他クッションタイプ粉末タイプ,シート(テープ)タイプ,その他クリームタイプクッションタイプクリームタイプ[最近]義歯粘着剤・クリームタイプ義歯安定剤・粉末タイプ義歯安定剤・シート(テープ)タイプ義歯安定剤容認➡歯科医師の管理・指導下➡短期の使用ホームリライナー(クッションタイプ)あまり推奨できない➡高い粘度➡咬合高径の変化➡咬合干渉➡顎堤に対する悪影響[約25年前]日本補綴歯科学会の見解安定剤は,大別してホームリライナーと義歯粘着剤とに分類できる.ホームリライナーは維持力の向上は認められても,むしろ為害作用が大きい場合のほうが多く,推奨できない.義歯粘着剤に関しては,一定の条件下での使用であれば容認できる.その条件とは,歯科医師の管理下で実施すべきであり,義歯の新規製作を前提とした,現有義歯の修理(粘膜調整,床裏装,改床など)時における短期間の使用に限るべきである」と提示している. 日本での義歯安定剤の市場規模は,年々,その額が上昇しており,クリームタイプのシェアがもっとも多く,そのシェアも年々拡大している(図10).クッションタイプは1990年代では多くのシェアを占めていたが,最近はクリームタイプに逆転され,次第に減っている.これはクッションタイプの適用性の困難さとクリームタイプの有用性が歯科医師に認識されはじめたことが要因と推察される. 粉末タイプとシート(テープ)タイプのシェアは,それほど多くはない.これは,一度水に濡らして使用するといった手間が関係していると思われる.1)推奨される義歯安定剤 クリームタイプと粉末タイプは流動性が高く,義歯床に薄く均一に広がるため,咬合高径の変化や咬合のずれが生じにくい(図11a,b).一方,クッションタイプ(ホームリライナー)は粘度が高いため,義歯床に均一に広がりにくく,義歯床と床下粘膜間の不適合や不適切な咬合関係を引き起こし(図11a,b),さらには顎堤の骨吸収を助長させる可能性も否定できない.義歯安定剤が必要な場合,クッションタイプよりもクリームタイプや粉末タイプを勧めるべきと考える.2)クリームタイプ義歯安定剤の正しい使い方 まず,義歯を水洗いし,水分を拭き取る.全部床図9 日本補綴歯科学会の義歯安定剤に対する見解.図10 義歯安定剤のタイプ別販売金額の割合の推移.約25年前はクッションタイプのシェアが約5割5分,クリームタイプが約3割5分であったが,最近はクリームタイプが約6割,クッションタイプが約3割となり,クリームタイプのシェアが年々拡大している.
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