85B.下顎骨と上顎骨の発生における類似性 明らかに、上顎骨と下顎骨の間でそれらの発生について興味深い比較が行われている(Dixon,·1957年)。それらの意義は、過大評価されている可能性もあるが、顔面隆起の外胚葉性間葉由来であること、骨化に先立ち上皮-間葉の相互作用が必要であることの他、軟骨頭蓋、末梢の三叉神経系と発達している歯の器官との関係に基づき、初期発生の相似器官を反映していることから、類似性は重要である。共通する特徴があることは、驚くことではなく、生涯を通じ、顎と歯が一つのユニットとして機能するためには、発生学的に多くの共通点を持つことは必然である。長年にわたり、顎の発生の説明は、下顎に焦点が当てられ、上顎には一時的に注意が向けられるだけであったが、これは、下顎が側頭骨を関節することを除き、独立していて、筋肉に調整され、自由に動ける内臓頭蓋の機能的成分として、その役割が複雑であるためであろう。 より具体的には、下顎骨と上顎骨はともに、対応する神経の分岐部に近接する骨化中心で起こり、二つの顔面隆起(膨隆)は、起源が共通であり、それぞれにおいて、それぞれの·一次的な軟骨性骨格、すなわち、メッケル軟骨と鼻胞と関係がある。また、それぞれは、神経要素と歯槽要素を発達させる(図4.12)。二次軟骨や副軟骨は、両方の骨の特徴である。しかし、下顎頭(関節突起)軟骨は、長年にわたり、成長中心として活性を維持するが、上顎骨の頬骨軟骨は、はるかに小さく、器質化されておらず、胎児期の短期間にのみ認められる。最後に、一つ区別されることがあるが、上顎骨には、筋突起がない。への成長により、内側と外側の歯槽板が生じ、犬歯と乳臼歯の歯胚を支える。口蓋突起の厚くなった基部で、内側板が外側よりも少し遅れて発達する(図4.9)。このように形成された骨の上下が逆の溝は、下顎の場合と同じように、その後、骨の中隔で隔てられ、個々の歯槽になる。120mm·CRL(約胎生18週)には、上顎は頑丈で、眼窩下管が形成されている(図4.10)。発生のこの段階での上顎のマイクロX線写真(図4.11)では、骨小柱が単一の骨化中心から放射する様子が明瞭に示されている(Dixon,·1958年;NjioとKjaer,·1993年)。上顎は、上顎洞が発達し、その高さが大いに増す生後まで、浅い骨のままである。顔面骨格の出生前の発生図4.9 60mm CRL(胎生12週)ヒト胎児の発生中の顎を通る前頭断面。矢印、内側歯槽板;F、上顎の前頭突起;IO、眼窩下神経;M、下顎の神経要素;N、軟骨性鼻胞;O、外側歯槽板;P、口蓋骨。元の拡大率、35倍。
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