顎顔面成長の基本原理
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473C.咀嚼活動の開始からの頭蓋骨の変化 われわれの研究室で行われた実験において、顎の作用を取り除くため、さまざまな年齢の74匹のビーグル犬で下顎が部分切除された(図17.8)。1年後、動物を、安楽死させた。測定顕微鏡とコンピュータ断層撮影法を用いて浸軟頭蓋骨上で測定された。 片側での下顎体の部分切除により、片側で正常な咬合が失われた(図17.9)。同様に、舌と口腔底の筋のバランスも障害され、その結果、下顎の基底骨弓も影響を受けた。咬筋の内側への牽引により、非手術側の下顎が内側に移動した。下顎の残された切除部分は、咀嚼動作に、受動的に関与するだけであった。 草食動物(偶蹄目)は、セルロース壁で包まれた植物質を側方運動ですりつぶし、臼歯の咀嚼面は、すりつぶす動きをする。嵌合せず、肉食動物とは対照的に、上下顎の関節結合は、非常にゆるく、横方向に動かしやすくなっている。肉食動物とは異なり、側頭筋は比較的小さく、咬筋が良く発達している。翼突筋と咬筋は、複雑な羽状筋構造で、外側翼突筋は、ヒトと同様に、二頭で起始する。 齧歯類は、よく発達した切歯が特徴的である。下顎が矢状方向に動く結果、少しずつかじることになり、下顎の側方運動で、食物は切り刻まれる。側頭筋は、比較的小さいが、咬筋は非常に良く発達しており、その起始は、上下顎前方部により前方に鼻部まで伸びている。 ヒトの咀嚼器は、上記のいずれのタイプにも割り当てられないため(図17.7)、動物実験の結果をヒトに当てはめて推論することには、難しいことである。筋、血管と頭蓋顔面の成長:いくつかの実験的アプローチ図17.7 ヒト、イヌとヒツジの咀嚼筋。対応する顎の筋肉の配置が系統的に示されている。ホモ・サピエンスケイネス・ファミリアス家畜ヒツジ L

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