インプラントの専門医を取得するための研修マニュアル
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図4 手術器材の展開。表2 手術室内の清潔域と不潔域・手術時手指消毒を行い滅菌ガウン、滅菌手袋を装着した術者および直接介助者清潔域・滅菌覆布で覆われた患者、器械・滅菌ガウン、滅菌グローブでのみ触れられる器具、機械、場所滅菌領域以外の器具、機械、場所不潔域させること、術中に手袋が破損した際、術者の常在菌によって術野が汚染されるのを防止することが目的である。アルコール性手指消毒剤を用いたラビング法とスクラブ剤を用いた消毒法(スクラビング法、揉み洗い法、ツーステージ法)がある6)。 スクラビング法はブラシを用いるため、皮膚を傷つけ、手から多くの細菌が剥落する可能性がある7)ため、ブラシを使用しない揉み洗い法や揉み洗い後アルコール性手指消毒剤を用いるツーステージ法が、現在わが国において一番多く行われている手術時手指消毒方法である8)(図6)。2)滅菌ガウン・滅菌グローブの装着(図7) 術中の手袋の破損に備え、手術用の手袋は二重装着が望ましい9)。内外で色の異なった手袋を使用することで手袋に発生したピンホールに気付きやすい(図8矢印)。二重手袋は、針刺し切創の際の血液体液曝露リスクを低減する効果も期待できる。図5 手術室内の清潔域と不潔域。  清潔域   不潔域台2. 来院時の術前患者管理①患者の体調などの聴取、バイタルサインの測定 体調、術前投薬、休薬状況、禁煙状況を聴取し、とくに全身麻酔や静脈内鎮静下にて手術を行う場合には、最終飲食時間を確認し、バイタルサイン(血圧、脈拍、SpO2、体温)を測定する。②術前処置 義歯や暫間補綴装置を外し、口腔内全体にわたる歯周組織、口腔粘膜、舌の軽度な機械的清掃および殺菌消毒薬(ベンゼトニウム塩化物液、ポビドンヨードなど)による化学的清掃を行う。機械的清掃は、なるべく術野から近い部位から遠方部位へと進める。③術衣の着用 患者は、術衣(身体を締め付けない清潔なもの、心電図・血圧計のカフを装着しやすいもの)に着替える。術前に口腔周囲を消毒するため、女性は化粧Ⅹ.インプラント体埋入手術85

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