薄い歯間部歯肉の厚み厚い狭いSFA+歯間部歯肉の幅MIST,M-MIST粘膜の厚みを極力保存した骨面からの全層弁MIST,M-MIST水平方向の切り分け切開,もしくは全層弁SPPT,MPPT,PPT粘膜の厚みを極力保存した骨面からの全層弁SPPT,MPPT,PPT水平方向の切り分け切開,もしくは全層弁広いり分け」の切開を加えることにより,上皮側,すなわち弁側と骨欠損の肉芽組織側に切り分け,その後に弁を剥離する方法である(FIG 15a). 水平方向への切り分けの切開を加える際に,あらかじめプローブで粘膜の厚みを計測しておくことで,どの位置に切開を加えるかを適切に定めることができる.水平方向の切り分けの切開を加えることで,歯間部の弁は容易に剥離することができる. しかしながら,過度のトリミングにより弁の裂開が生じたり,壊死したりすることで,歯間部の陥没をきたす原因になることがあるので,注意が必要である.筆者は,歯間部の歯肉の厚みが3mm以下,あるいは歯間部に大きな骨欠損がない症例では,骨頂で切って全層弁で剥離する方法を選択している(FIG 15b). 一方で,歯間部に骨欠損があり,軟組織の厚みが4mm以上の場合に,この切り分けの切開を選択している(FIG 15a).SPPT,FTF,MWF歯間部歯槽骨面露出術,粘膜の厚みを極力保存した骨面からの全層弁SPPT,FTF,MWF,SFA水平方向の切り分け切開,もしくは全層弁②切り分けの位置 この水平方向の切り分け切開は,SFA(片側剥離)やM-MISTにおいて歯肉の厚みが厚い場合では,より根尖側寄りの位置で切開を行なうべきであるとTrombelliは述べている(FIG 16).片側のみの剥離を行なった場合,歯冠側寄りの位置で水平方向の切開を行なうと,歯間部の骨欠損を明示すること,あるいは掻爬することがしばしば困難となるからである.③フェノタイプ 歯間部の歯肉の厚みは,歯肉退縮の進行度,歯肉頂と骨欠損底部との距離によって決定されるが,患者固有のフェノタイプ(バイオタイプ)による影響も考慮しなければならない.一般的に薄いフェノタイプの患者では,歯肉の炎症所見がより顕著に見られると同時に,治療による歯肉退縮がより顕著に起こることを経験する.このため,歯肉が薄いフェノタイプの患者では,頬側ではなく,PPT(半月状)やITM(ピラミッド)などの口蓋側での歯根間切開を行なうことをTrombelliは推奨している(FIG 17).128CHAPTER 6 フラップデザインに影響を与える種々の要因FIG 17 歯間部歯肉の幅,厚みとフラップデザイン.+++++
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