フラップデザイン
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の下方増殖の抑制が必要と考えられている.この知見はGTRの根本的な治療概念となった.遮断膜の大きな役割の1つが上皮の下方増殖の抑制であるが,またEMDの塗布も同様に,上皮の下方増殖を抑制することが報告されている.management)②縫合技術(suture technique)③一次閉鎖(primary closure of the flaps)④連結固定(splinting)⑤術後管理(postoperative instructions)一次閉鎖場の確保と維持(space creation / maintenance)骨壁が乏しい症例では,メンブレンなどの人工的な補強の材料を用いるが,メンブレンの動揺や脱離は創部の裂開の原因となる.このため,メンブレンの陥没や歯肉弁の陥凹などによって再生の場が縮小することなどを極力避けなければならない.GBRやGTRにおけるメンブレンの役割は,上皮の下方増殖を抑制することと同等に,スペースの確保であると現在では考えられている.wound and implant)④血管新生(angiogenesis)を挙げ,GBR成功のための必須項目として“pass”principleとよび,その重要性を強調している18(FIG 12). “pass”の原理は,GBRのみならず歯周組織再生療法でも,成功のためのkey factorであると支持されている.重要なことは,3人の著名な臨床医が提唱した必須項目はほぼ一致しており,なかでも創部の安定や一次閉鎖が共通して挙げられていることである.GBR成功のための必須項目“pass”principle11CHAPTER 1 フラップデザインのバイオロジーFIG 12 Wang Hによる “pass” principles.*参考文献18より引用・改変血管新生創傷部ならびにインプラント(stability of wound and の安定implant)創傷部の安定 創傷部の血餅を含めた治癒過程の組織が,障害を受けることなく安定した状態を保つためには,創傷部の安定が必須である.そしてHeijlは,創傷部の安定を得るためには,以下の項目が必要であると述べている.①フラップデザインとそのマネジメント(flap design & 再生の場の確保 再生を良好に導くためには,再生のための場を確保することが重要である.細胞が増殖する場を確保することは,再生のための必須の要件となる.残存骨壁が多いことは,より安定した再生のための場が得やすい環境であることを意味する. また,術後に血餅を安定的に留めるためにスペース(場)が必要となるが,これは骨欠損内の内側に向かってのスペースと,メンブレンやチタンメッシュなどを用いて人工的につくる外側へのスペースに大きく分けられる.passの原理 創傷部の安定はいうまでもなく重要である.創傷部の安定が得られることで血餅の安定を得ることができ,再生に有効な環境を構築することができる.このため現在では,いかにして術後に創傷部の安定を得ることができるかが再生のための大きな鍵として重要視されている. インプラント治療のための骨造成を成功に導くための重要な4項目として,Wang Hは,①一次閉鎖(primary wound closure)②場の確保と維持(space creation / maintenance)③創傷部ならびにインプラントの安定(stability of (primary wound closure)(angiogenesis)

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