aabb歯根に平行にメスが挿入されると骨欠損内にメスが到達するFIG 7 #15cのメスを用いた歯肉溝内切開.骨頂部が確実に切れていると容易に弁が剥離される骨欠損内を乗り越えて剥離する形となるために,時間と労力を要するこの切断面は歯根との接合において重要開・剥離を行なうものである.再生療法においてもっともポピュラーな選択として用いられる切開である.基本的に骨縁下欠損がある深い歯周ポケットが存在する部位では,骨欠損内にメスが挿入されることになる.このため,30CHAPTER 2 切開① 歯頸部の切開FIG 8a メスを歯肉溝内に挿入し,歯根に平行に進み,骨に到達する切開.FIG 8b 軟組織は最大限に温存できるが,弁の断端の形はよくない.肉芽組織がついたままで不必要に時間がかかり,効率は悪い.FIG 9a 歯肉溝内にメスを挿入し,歯根に沿って進めたのちに,骨膜に向けて骨頂を切る切開.FIG 9b 歯根面に適合する断面が得られると同時に,肉芽組織は骨欠損に残る.適切できれいな弁が形成される効率の面でもすぐれている.より効率的な 「歯肉溝内切開」の考え方 近年,歯周治療で歯周組織再生療法が用いられるようになってからは,歯頸部の切開はほとんど歯肉溝内切開が適用されるようになった.その理由は先述のとおりである.しかし一方で,そのことが歯周組織再生療法において切開・剥離の過程で多くの時間を要することにつながっている.歯肉退縮を抑制する,あるいは骨移植を行なっても良好な一次閉鎖を達成する,再生のための場を提供するなどの理由から,軟組織(歯肉)を可及的に温存した形のフラップの形成が必要とされる.したがって,日常の臨床で相当な時間のロスを防ぎ,かつ効果的な歯肉溝内切開を行なうことは,非常に大切である(後述FIG 10). 「歯肉溝内切開」はメスを歯肉溝内に挿入し,上皮を可及的に除去しつつ,軟組織を最大限に保存しながら,切時間のかかる 歯肉溝内切開より効率的な 歯肉溝内切開歯肉溝内切開――再生療法における歯肉溝内切開の例
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