9THE JAPANESE JOURNAL OF ESTHETIC DENTISTRYISSUE 2022Interdisciplinary management of complex orthodontics patient 歯科臨床におけるインターディシプリナリーアプローチの中でも、とくに実践される機会が多いのが「補綴医×矯正医」によるものではないだろうか。歯周・歯内療法・口腔外科など、歯科のいずれの分野をとっても補綴との関連が薄いものはないが、とくに矯正医は矯正歯科治療のみを専門に行っている場合が多く、その一方でみずから矯正歯科治療を手掛ける補綴医が少ない現状があるため、連携する機会は多かった。これに加え、昨今ではMI(Minimal Intervention)の概念が浸透し、できるかぎり歯質の切削を避けるための歯の 患者は47歳男性。全顎的な矯正治療を希望し来院された。Fig 1に、他院にて撮影された2001年当時の口腔内写真を示す。その後、2020年3月に外科矯正手術が行われ、Invisalignシステム(インビザライン・ジャパン)を用いたアライナー矯正治療が計画された。2020年4月の状況をFig 2に、同じく5月の状況をFig 3に、7月の状況をFig 4に移動が重視されるようになってきたことも追い風となっている。そこで今回は、下顎前突に対して外科矯正(下顎枝矢状分割術、Le FortⅠ骨切り術)が行われた後、アライナー矯正を経て補綴治療が行われた症例を供覧する。また、本稿ではバーティカルプレパレーションから派生させた、筆者による支台歯形成~歯冠形態付与のコンセプト「MTAP」(Mor-phological Tooth Augmentation Procedure)についても紹介したい。示す。矯正担当医は菅原準二氏(宮城県開業)および尾島賢治氏(東京都開業)である。 その後、筆者のオフィスに来院された際の状況をFig 5 to 9に示す。パノラマエックス線写真から、筋突起が削除されていることがわかるが、これは顎矯正手術時の自家骨移植のドナーサイトとして利用されたとのことであった。一方で、関Fig 1a to e 治療前の口腔内写真(2001年撮影)。abdceはじめにCase Presentation
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