保険のペリオを極める
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歯内疾患由来の排膿路が、根尖孔または側枝から歯根膜を通じて形成されることで、深い歯周ポケットが生じた状態。歯周疾患が根尖付近まで進行した状態。歯髄組織は生活力を維持している。単一病変(歯内疾患由来)プライマリーエンド単一病変(歯周疾患由来)プライマリーペリオ図3-1-1 Simonの分類。c~eの複合病変については、正確にどれが該当するかの診断は治療後でも困難な場合がある。臨床的には「単一病変(歯内疾患由来)」「単一病変(歯周疾患由来) 」「複合病変」の3つの分類だけで治療を進めることができる(文献68より引用改変)。92複合病変複合病変複合病変プライマリーエンド セカンダリーペリオ歯内疾患由来で生じた歯周ポケット内にバイオフィルムが形成され、歯石が付着し、二次的に歯周疾患を発症した状態。トゥルーコンバイン歯内疾患と歯周疾患が独立して発症し、それらがやがて合流した状態。プライマリーペリオ セカンダリーエンド進行した歯周疾患により、細菌が根尖孔または側枝を経由して歯髄に感染し、二次的に歯内疾患を発症した状態。 読者のなかには「エンド・ペリオ病変を知らない」あるいは「聞いたことはあるが、よくわからない」という方もいるであろう。文字どおり「エンド病変」と「ペリオ病変」の単独病変または2つの混合病変のことを指す。SPTの項目でも少しふれたが(86、87頁参照)、ここではさらに掘り下げて解説するので、歯科医師のみならず歯科衛生士にもその理解を深めていただきたい。 エンドの問題がある場合、通常は根尖相当部にサイナストラクト(排膿路)が形成されることが多いが、稀に歯根膜に沿うようにサイナストラクトが形成され、それがあたかも歯周ポケットのようになることがある(87頁図2-7-5参照)。また、「ペリオ病変」があたかもエンドの病変のように見えるものもある。 さらにこれらの病変が混合していると、より病態は複雑になる。エックス線写真でも重症に見受けられ、どのように治療を行えばよいのかわからず、途方に暮れてしまい、「予後が悪そうだから抜歯」と判断しかねない状態である。しかし、この病態を正しく理解して診断し、治療を行うことで保存の可能性は高まる。それには特殊な技術が必要ではなく、エンドの基本的な概念と治療(姉妹書『保険のエンドを極める』67参照のこと)、そして本書の情報を合わせることで、保険診療でも十分な治療ができる。 エンド・ペリオ病変の病態は、Simonら68が「2つの単一病変」と「3つの複合病変」を合わせた5つのエンド・ペリオ病変の分類で示している(図3-1-1)。この分類はエンド・ペリオ病変がどのように進行しているかを理解するうえで重要な事項である。しかし、これらは結果論的な分類であり、実際の臨床では「3つの複合病変」に対する治療指針は同じなので、「2つの単一病変」と「複合病変」の3つTopicsエンド・ペリオ病変とは何か? ~その見極めと対応~1

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