インプラント YEARBOOK 2021
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株式会社メガジェンジャパン● はじめに 本稿では,審美領域でルートメンブレンテクニックを用いたAnyRidge インプラントの単独歯欠損症例およびAnyOneインプラントを用いた複数歯欠損症例を供覧し,それぞれのインプラントシステムの特徴および有効性について説明する.● 症例1:歯根破折による単独歯症例概要 患者は28歳の女性で,職業はタレント.₁の動揺と歯肉の腫脹により来院.「職業上,抜歯してもよいが治療期間中に歯がないのは困る.また腫れたり痛みが出たりしないでほしい」ということで,他院の紹介により来院した.口腔内所見では,₁は近遠心的歯根破折のため唇側歯肉は腫脹とクレフトおよび歯冠部の動揺が認められた(図1). X線写真では,₁は失活歯で太いメタルコアが装着されていた(図2a).CBCTの軸位断像では,骨頂ゾーンおよび歯根ゾーンで薄い唇側束状骨が認められた.冠状断像では薄い束状骨に沿った健全な唇側歯根部が認められた.根尖部から鼻腔底までの骨質はTypeⅣであった(図2b).治療経過 浸潤麻酔後,ボーンサウンディングを行い,唇側骨縁下に束状骨と健全な歯根片を確認した.本症例では,唇側の歯槽突起を維持するために唇側歯根片を保存するルートメンブレンテクニックを用いた抜歯後即時埋入が適応となる(図3).メタルコアを除去後,近遠心的歯根破折線が認められ,垂直的破折位置は唇側骨縁部で止まっていた(図4). 破折した冠部歯根片を除去後,イニシャルシェイパードリル(Megagen社)を用いて口蓋歯根片を除去するために,歯根を近遠心的に切断した(図5).歯根を近遠心的に切断後,口蓋側歯根片を脱臼させ除去した.唇側歯根片を骨縁までトリミングし,唇側歯根片の切断部は,内方へ傾斜させ厚みを均一にしたC shape状に形成した(図6). 抜歯後即時埋入はフラップレスで行い,インプラントの埋入位置と方向は切縁と基底結節の間で,埋審美領域におけるMegagen AnyRidge インプラントとAnyOne インプラントの使い別け林 揚春 Yoshiharu Hayashi東京都新宿区開業:優ビル歯科医院日本口腔インプラント学会,医療法人社団秀飛会理事長,FIDI,日本大学客員教授,日本顎咬合学会指導医,ICOI Diplomate327327

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