顎矯正手術エッセンシャル
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剥離 骨膜,頬神経の損傷を招かないように配慮する.安全で確実な手技のために,剥離は大変重要なステップとなる.まず下顎角に向かって丸山剥離子などで鈍的な剥離を行い(図3a),同部にプロゲニーリンネ(ハーケン)を挿入する(図3b).外斜線部から骨膜剥離子を挿入して下顎角部より前方の外側の剥離を行うが,下顎角部より上方は可及的に剥離しない(図3c).下顎枝前縁剥離子で側頭筋の筋膜上を剥離して(図3d, e),ラームスハーケンで展開する(図3f).露出した側頭筋はメスで鋭的に切開して内外側に分離する(図3g).下顎切痕は粘膜剥離子でまず外側から確認し,そのまま内側骨切り線に相当する下顎枝外側を後縁まで剥離しておく.下顎枝内側も同様に後縁まで確実に粘膜剥離子などの鈍的な器具で剥離する(図3h)point 4.図3a 丸山剥離子による下顎角部の鈍的な剥離.図3b プロゲニーリンネを下顎角部に挿入.図3c 下顎枝前縁の粘膜下組織,頬筋を切離.図3d 側頭筋筋膜が露出したら,下顎枝前縁剥離子にて筋膜上を剥離.剥離point 4剥離①まず上下的にスペースを確認し,プロゲニーリンネを挿入するのが通法である.②ここでは曲がりが少なく,挿入が容易な眼窩用鉤(他にプロゲニーハーケン,スパーテルなどの呼称がある)を用いている(図3i, j).acbdCHAPTER 6 下顎枝矢状分割術(SSRO)85

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