顎矯正手術エッセンシャル
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⑤舌側歯肉剥離抜歯した小臼歯部の舌側歯肉縁から下方に向かって,軟組織を骨膜下で下顎下縁近くまで(少なくとも後で加える水平骨切り線よりも下方まで),最小限度の近遠心的幅で剥離する(図10,11).歯槽骨部の縦骨切りを行う際に,フィッシャーバーやレシプロケーティングソーで舌側歯肉,口底部軟組織を損傷しないように,骨膜下に剥離子を挿入して保護するためである.このとき,骨片への血流を温存するために近心側の剥離範囲はできるだけ狭くする.⑥44部歯槽部縦骨切り軟組織を保護し,フィッシャーバーやレシプロケーティングソーを用いてまず唇側の縦の骨切りを行う(図12).骨切り部の両側隣在歯の歯根の損傷を避けるために,抜歯窩の近遠心的中央部でまず骨切りするのがよい.この縦骨切り線は犬歯歯根から5mm以上下方にまで延ばす.歯槽骨の舌側は,舌側の骨膜下に剥離子を挿入して舌側歯肉,軟組織を保護しながら,レシプロケーティングソーで骨切りする.この縦骨切りを両側に行う.5mm根尖手指神経血管束図13 小臼歯で,後退量分の歯槽骨を舌側まで削除した後,両側犬歯間を水平骨切りする.図14 水平骨切り時には,舌側皮質骨が切れて,わずかにバーやソーの先端が触れることを指で確認しながら,骨切りする.水平骨切り44歯槽部縦骨切り図12 抜歯部歯槽骨の縦骨切り.PART3 下顎の手術168

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