保険診療でできるメタルフリー修復治療
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97CAD/CAM冠の試適・調整・装着⑪可及的にレジンセメントの除去が完了した後に、確実な光照射を行いレジンセメントを重合させる。⑫接着完了時。レジンセメントは、いかなる種類や状況であっても取り残してはならない。図15b 歯面処理を必要とする接着性レジンセメントを用いて前歯へCAD/CAM冠を装着する手順②。型のコンポジットであるという側面をもつため多くの色調、とくに透明度を獲得することが容易で審美性に長け前歯部における応用がしやすい。 現在ではいずれのレジンセメントでも、性能が高まっており、適切にその性質や用法を理解し確実に操作を行えば接着に関して不利といわれてきた100%近いレジンの重合性を有するCAD/CAM冠用のレジンブロックであっても高い接着力を発揮することが可能である。図14、15にCAD/CAM冠の装着に関する各ステップを示す。まとめ CAD/CAM冠はコンポジットレジンを材料として製作された補綴装置で、接着性コンポジットレジンセメントを用いて患歯へ強固に接着されなければ良好な予後を獲得することが困難である。 術者はCAD/CAM冠を臨床応用する上で、以上を十分に理解し試適、調整・研磨、装着の各ステップを確実に実行することで患者に対し満足のいく歯科治療を提供することが可能となる。本稿執筆に際し貴重な実験データをご提供いただいた日本歯科大学生命歯学部接着歯科学講座の奈良陽一郎教授、岡田美里先生、中澤美和先生および医局員各位に心より感謝申し上げます。参考文献1.末瀬一彦.保健診療に導入された「CAD/CAM 冠」の初期経過に関する調査研究.日本デジタル歯科学会雑誌 2015;5:85-93. 2.末瀬一彦.CAD/CAM冠装着に関する調査研究.日補綴会誌 2016;8・125 回特別号:254.3.末瀬一彦,橘高又八郎,辻功,澤村尚明.小臼歯CAD/CAM冠導入2年後の臨床経過に関する調査研究.日補綴会誌 2019;11(1):45-55.4.Nguyen JF, Migonney V, Ruse ND, Sadoun M. Resin composite blocks via high-pressure high-temperature polymerization. Dent Mater. 2012;28(5):529-534.5.千田彰,寺下正道,寺中敏夫,宮崎真至(編).保存修復学 第6版.東京:医歯薬出版,2013:181-240.6.Duan Y, Griggs JA. Eect of elasticity on stress distribution in CAD/CAM dental crowns: Glass ceramic vs. polymer-matrix composite. J Dent 2015;43(6):742-749.7.Seelbach P, Brueckel C, Wöstmann B. Accuracy of digital and con-ventional impression techniques and workflow. Clin Oral Investig 2013;17(7):1759-1764.8.Mangano FG, Veronesi G, Hauschild U, Mijiritsky E, Mangano C. Trueness and Precision of Four Intraoral Scanners in Oral Implantol-ogy: A Comparative in Vitro Study. PLoS One. 2016 Sep 29;11(9):e0163107.9.新谷明一,黒田聡一,新谷明宏,清水沙久良.CAD/CAMハイブリッドレジン冠の臨床と技工.補綴臨床 2014;48(1):7-21.10.新谷明一,三浦賞子,小泉寛恭,疋田一洋,峯篤史.CAD/CAM冠の現状と将来展望.日補綴会誌 2017;9(1):1-15.11.高橋圭,吉山知宏,横山章人,島田康史,吉山昌宏.唾液汚染に対する新規汚染除去材の効果について.第150回 日本歯科保存学会 2019年度春季学術大会,ポスター発表 P34.

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