保険診療でできるメタルフリー修復治療
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47CAD/CAM冠支台歯形成の術式 臼歯部編2)形成の順序 咬合面より形成を行う場合、軸面の形成は咬合面の形成後となり、支台歯の高径が低くなった後にテーパーを設定することになる。そのため適切なテーパーを付与することが難しくなる(図9)。反対に、先に軸面のテーパーを設定する場合、咬合面の形成は軸面の形成後となるためテーパーに影響を与えない(図10)。そのため先に軸面の形成を行い、その後に咬合面の削除を行うようにするとよい。3)軸面a. 頬側面・舌側面 頬側面は咬頭側と歯頚側それぞれに咬合面と同様1mm弱のガイドグルーブを付与し、機能咬頭は移行的に3面形成、非機能咬頭は2面形成する。軸面テーパーは片面6~10°の範囲におさめる。クリアランスは軸面で1.5mm以上、マージン部で約1.0mmにする(図11)。 CAD/CAM冠は必要なクリアランスが大きくなるため、支台歯の軸面高さが不足する傾向がある。また、CAD/CAMシステムは角の存在を嫌うため、支台歯形態を可及的に丸く仕上げることが求められ、さらにテーパーも大きく設定する必要がある。そのため、必然的に支台歯形態が有するリテンションが損なわれ、脱離の危険性が高まる。従来の鋳造冠の場合には、支台歯の高径が低い支台歯形態に対して、補助的保持形態の応用によって対応することが可能であった。しかしながら、CAD/CAMシステムによる製作上、グルーブやホールについてミリング加工による対応が困難となり、スキャニングおよびミリング加工精度の低下を招き、グルーブやホールについて不適合の原因となる。そのため、CAD/CAM冠形成前①咬合面の形成②軸面の形成形成前①軸面の形成②咬合面の形成図9 形成の順序①:咬合面より形成を開始する場合。支台歯の高径が低くなった後にテーパーを設定することになるため、適切なテーパーを付与することが難しくなる。図10 形成の順序②:軸面より形成を開始する場合。咬合面の形成は軸面の形成後となるため、テーパーに影響を与えない。図11 軸面の形成。図12 支台歯の高径が低い場合。歯頚部付近のテーパーを小さめに設定する。1112

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