保険診療でできるメタルフリー修復治療
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29CAD/CAM冠の適応症 前歯部編4)金属アレルギー患者への対応 CAD/CAM冠の大きな特徴のひとつであるメタルフリー修復が可能となるため、金属アレルギー患者に適したクラウンである。レジン前装冠は金属を使用するため、金属アレルギー患者への応用は慎重に行う必要がある。5)費用 現在、金属材料は著しく高騰しており、金が6,919円/g、パラジウムが8,706円/g(2020年12月8日現在)である。そのため、レジンブロックのみから切削加工されるCAD/CAM冠は、比較的安価に提供することが可能である。      *         * オールセラミッククラウンは保険診療では使用できないが、CAD/CAM冠との比較を表2に示す。セラミック材料は機械的性質や生体親和性にすぐれた材料であるため、レジン系材料であるCAD/CAM冠と比較して多くの面ですぐれている。2.前歯部CAD/CAM冠の適応症1)支台歯に適切な保持形態、抵抗形態を付与できる症例1 前歯部CAD/CAM冠の推奨される支台歯形態を図4に示す。CAD/CAM冠の破折防止の観点からも必要最小限の支台歯形成量が必要となるが、その削除量を確保した状態で十分な支台歯軸面の高さを有する支台歯が求められる。 また、下顎中切歯・側切歯のように歯冠幅径が小CAD/CAM冠レジン前装冠審美性〇〇強度〇◎適応範囲△◎金属アレルギー対応◎×費用〇△CAD/CAM冠オールセラミッククラウン審美性〇◎強度〇◎適応範囲△◎金属アレルギー対応◎◎費用◎×表1 CAD/CAM冠とレジン前装冠との比較。表2 CAD/CAM冠とオールセラミッククラウンとの比較。図1 金属支台築造の支台歯。図2 パナビアV5(クラレノリタケデンタル)のユニバーサルでCAD/CAM冠を装着した状態。支台歯の金属色が反映されて、CAD/CAM冠が暗く見える。図3 パナビアV5(クラレノリタケデンタル)のオペークでCAD/CAM冠を装着した状態。支台歯の金属色を遮断することが可能となる。そのためには、十分な頬側軸面の支台歯形成が必要となる。123

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