保険診療でできるメタルフリー修復治療
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28Part2 CAD/CAM冠の適応症を知るはじめに 前歯部CAD/CAM冠の適応症は、「上下顎前歯部における単冠症例」であるが、ここでは、実際の臨床で考えられる適応症について考えたい。1.CAD/CAM冠とレジン前装冠の比較 保険診療で前歯部に対しては、従来からレジン前装冠が使用されてきている。そこで、CAD/CAM冠とレジン前装冠の特徴の比較を表1に示す。1)審美性 基本的に、CAD/CAM冠はメタルフリー修復装置のため、審美性にすぐれる。しかしながら、支台歯の色調が不良な場合(例えば、金属の支台築造がなされている症例や変色歯の症例)では、金属フレームを使用しないため、支台歯の色調がCAD/CAM冠の色調に反映され、十分な審美性を獲得することが難しい症例がある(図1~3)。 支台歯の色調が不良な場合は、装着時に使用するレジン系装着材料の色調(オペーク色を使用するなど)で、支台歯の色調を遮断することが可能となる。しかし、そのためには十分なCAD/CAM冠の頬側面部の厚みを確保する必要があるため、頬側軸面の十分な支台歯形成量が必要となる。 レジン前装冠では金属フレームがあるため、支台歯の色調の影響は少ない。一方では、金属フレームにレジンを前装するため、歯頚部を含め金属色の影響は少なからず生じる。2)強度 レジンブロックから切削加工されるCAD/CAM冠は高品質で、物性も向上しているが、金属フレームを用いるレジン前装冠に比較すると機械的強度の面で劣る。そのため、十分なクラウンの厚みを確保できるような、適切な支台歯形態を付与できる症例に対して、CAD/CAM冠で十分に適応できると考えられる。 一方で、後述するようなCAD/CAM冠の適応を推奨できない症例では、レジン前装冠の使用が望ましい症例も少なくないと思われる。3)適応範囲 CAD/CAM冠は上下顎前歯部の単冠症例のみの使用が認められているため、ブリッジにも適応可能なレジン前装冠に比較して適応範囲は狭い。2-2CAD/CAM冠の適応症前歯部編小峰 太

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