見逃しケースのなぜを解く! 歯科診断スキルアップ実践ガイド
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29Ⅱ章 ケースで詳解診断力が身につく・高まる 実践アドバイスキーワード1 「歯」「痛い」3 「舌」「口」「あご」「痛い」4 「歯」「違和感」2 「歯」「痛い」「腫れる」(4)追加検査●唇と頭部の症状について歯の疾患以外の疾病を疑い、検査を実施。① 三叉神経痛の可能性▶本ケースでは「顔を洗ったとき、唇に手が触れると違和感がある」との訴えがあるため、 掘り下げて検査・問診を行った。一見「顔を洗ったとき」との訴えがあることから、三叉神経痛と確定する歯科医師もいると思われるが、痛みの程度や、唇以外にも三叉神経支配領域に明らかな強い痛みがあるかをよく検査してから確定すべきである。本ケースの場合、 違和感がある程度で、激しい痛みはなかった。② 帯状疱疹の可能性▶帯状疱疹は歯、唇、頭部の広い範囲にわたって知覚する痛みを説明できる病態である。患者は水疱瘡について「罹患既往あり」であった。患者の訴えにある「昨晩一時的に唇に発疹が出た」との関連は不明であるが、皮膚症状に先行して違和感が発現することは一般的な帯状疱疹の経過であり、視診にて粘膜に発疹が認められないからといって、この段階で帯状疱疹を否定するものではない。【考え方】 デンタルエックス線写真上、₇に明らかなう窩は認められず、1は却下できる。また、根管未処置歯であることが確認されたが、仮に生活歯が破折した場合、冷温痛などの歯髄の反応が顕著になることが考えられるが、そのような症状はない(2の却下)。咬合性外傷は完全には否定できないが所見は乏しい。先にも述べたように、複数の病態が発現している可能性もある。ここで咬合調整を行って、経過がどうなるかをみても良いかもしれない。123456急性根尖性歯周炎歯根破折咬合性外傷急性歯周炎三叉神経痛帯状疱疹××△×○○Step③画像所見等による仮説の再検討

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