見逃しケースのなぜを解く! 歯科診断スキルアップ実践ガイド
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27Ⅱ章 ケースで詳解診断力が身につく・高まる 実践アドバイスキーワード1 「歯」「痛い」3 「舌」「口」「あご」「痛い」4 「歯」「違和感」2 「歯」「痛い」「腫れる」3Objective symptoms(1)肉眼的所見(図1)●右上臼歯部、右下臼歯部ともに実質欠損は認めない。過去に治療した形跡なし。●右上臼歯部、右下臼歯部ともに歯肉の腫脹・ 発赤・出血は認めない。(2)各種検査所見(表1)●咬合紙にてバイトチェック。右上下臼歯部において明らかに高い部位は認めない。表1 各種検査所見部位自発痛違和感硬組織所見歯周組織所見(当該歯相当歯肉)実質欠損冷風痛垂直打診痛水平打診痛動揺度根尖部圧痛歯周ポケット(PPD)腫脹発赤₇+--++0-3 3 33 3 3--₆±----0-3 3 33 3 3--₇±----0-3 3 33 3 3--₆±----0-3 3 33 3 3--【考え方】 歯の疾患として考えると、症状は昨日から続いている自発痛であるため、まずは急性の病名が想定される。冷温水痛が生じていないこと、咬合痛が症状としてあることから、歯髄ではなく歯根膜の炎症由来の可能性が優先され、1、2、3、4がまず想起される。一方、問題を「歯」に限局したとき、歯周組織が反応しているのに放散痛的訴えであることに矛盾点がある。したがって、歯の疾患でない可能性、あるいは歯と唇・頭部とは別の疾患である可能性が捨てきれない。唇や頭部の違和感については、5、6を考えておくべきである。 口腔内診査では、歯の疾患の有無、病変の広がりを判断すべく所見を集める必要がある。623451急性根尖性歯周炎歯根破折咬合性外傷急性歯周炎三叉神経痛帯状疱疹図1 口腔内写真う蝕・歯周炎を裏づける所見に乏しいヒントSとOは一致している矛盾があるのは、やはり歯の疾患に限定したときの症状の種類とその広がり方であるヒントStep①問診・診察等から得た情報による仮説の設定

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