32別冊the Quintessence 「YEARBOOK 2021」Part2 私のCR修復の現在の臨床的位置づけと最新ケースプレゼンテーション図1 隣接面う蝕のファーストアプローチは,辺縁隆線からは行わない. 筆者がCR修復の利点として説明していることは,基本的には即日で審美的改善が得られることである.もちろん,この利点は適切な診断が前提となる.また,前述のことから形成直後に接着処理を行えるので,間接修復よりも強い接着強度が得られることも説明する. さらに,う蝕がある場合は感染歯質のみを除去して修復することが可能であり,う蝕がない場合においても,健全歯質をほとんど削らずに形態修整ができるので,歯にとってもっとも侵襲の少ない治療法であることも説明している. 加えて,限度はあるが,他の部位に新たなう蝕が発生あるいは修復部位が破折や脱離したとしても,修復物を外さずに,その部位のみを同じ材料を用いて再治療や再修復することができる唯一の治療法であることも説明している. 直接修復と間接修復の接着強度を比較した場合,直接修復のほうが明らかに強いと感じている.なぜなら,筆者のこれまでの臨床経験のなかでは,ハイブリッドセラミックやオールセラミック製の修復物,補綴装置が接着界面から破折および脱離していたことが多いからである.そのため,患者には上記のことを説明している. また,金属を用いた間接修復物との違いは,前述した接着強度の説明に加えて,金属は割れることがないので,部分的に脱離していても修復物自体はしばらく脱離することはないため,二次う蝕になることが多いことを説明している. さらに,金属を用いた間接修復物は,視診およびエックス線検査において内側を確実に観察することができないので,患者に自覚がなければう蝕の発見が遅くなり,金属修復物を除去した際に大きくう蝕が進行している場合が多々ある.その場合は,患歯の写真を撮り,患者に提示しながら説明することで説得力が増し理解も早くなる. CR修復とセラミック修復の違いについては,その違いを患者にわかりやすく説明するために「CR修復は最高級のプラスチックのお皿」「セラミック修復は釜元がつくるセラミックスのお皿」と例えて説明している.CR修復の利点についてどう説明している? ?CR修復と他の治療選択肢との違いについてどう説明している? ?CR修復における患者へのコンサルテーション
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