109Chapter 6 切開から理解するエンドサージェリー参考文献1.Kim S, Pecora G, Rubinstein RA. Osteotpmy and apical resection.In: Color Atlas of Microsurgery in Endodontics. Philadelphia:Saunders, 2001;85‐94. 2.Rubinstein R. Magnification and illumination in apical surgery. Endodontic Topics 2005;11(1):56‐77. 3.Michanowicz AE, Archer WH. Surgical endodontics. In: Archer H(ed). Oral and Maxillofacial Surgery 5th vol 1. Philadelphia:Saunders, 1975;391‐404.4.Arens DE, Torabinejad M, Chivian N, Rubinstein R. Practical Lessons in Endodontic Surgery. Chicago:Quintessence Publishing, 1998.図3 根尖病変部位の特定が難しい症例.骨切除が必要なケース.軽度の根尖病変か,上顎洞や口蓋側へのフェネストレーションがある場合,画像診断により病変までの距離を正確に診断を行うことで,切除前に歯根を傷つけることがなくなる.a: 皮質骨削除前.b: 削除中.c: 削除後.(図3,4,6,7は参考文献4より引用・改変)abc図4,5 4: 根尖を傷つけてしまう状況.5: 根尖病変部位が明瞭な口腔内写真.根尖病変部位の特定が困難な症例は,図4のように根尖を傷つけないよう注意が必要である.5478図7 骨削除後の不良肉芽除去.掻爬時,唇側は目視が可能であるため,そのまま掻爬が可能だが,根尖の口蓋側は根尖を切除してから掻爬を行うこともある.口蓋側に根尖のクラックが発生している場合もある.図8 不良肉芽除去後の口腔内写真.掻爬は海面骨面まで行うことで,術中の出血量をコントロールすることができる.出血が続く場合,不良肉芽の存在や海綿骨内の太い血管の損傷が原因である.図6 正確に根尖病変部位を計測する.根尖の診査・診断が終了後,原因となる部位も含めて切除を行う.バイオフィルムや歯石沈着の有無を入念に診査する.は海綿骨の中に入り込み,除去に時間を要する.しかし,不完全な除去は出血の原因となりうる.根尖の口蓋側寄りの不良肉芽については,デンタルX線写真などで根尖の位置を確認し,歯根端切除後に除去することもある.徹底した除去により,根尖のクラックなどの見落としを防ぐことができる.根尖切除 掻爬後,根尖から2~3mmの間で根尖切除を行う.根尖切除は,先端が1mmの幅のフィッシャーバーなどを使うことで2~3mmの距離の測定しながら確実に切除する.現在は,マイクロスコープや拡大鏡を用いることができるためベベルの必要性はない.初めて骨切除を行う場合の注意点 各症例は剥離後の処置として,①骨切除を行う症例,②行わない症例,そして根尖切除の術野確保のため,③骨切除によってさらに切除の範囲を広げる必要のある症例に分けられる. 根尖病変の大きさ,位置,歯の種類により,術野確保の方法は異なる.しかし,6-8以降で説明する逆根管形成や逆根管充填を行うためには,超音波チップの長さが4mm,逆根管充填を行うスペースが4mmを要し,最低でも直径8mmの骨空洞が必要である.これらのことを踏まえて,術者に歯根端切除の十分な経験がない場合は,慣れるまで直径10mm以上の根尖病変の手術を行うことを勧める.根尖病変部位の特定が難しい症例(図3~6)骨削除後の不良肉芽除去臨床のポイント(図7,8)
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