デンタル エステティック コンセプト
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Chapter 3 歯肉審美の獲得左:3mm以上のインプラント間距離が確保できれば、骨頂から3、4mmの再生が可能。右:3mm以下に近接してしまうと骨頂部は平坦になり、再生の可能性はさらに低くなる。5.歯間乳頭への対応 Gingival Frameworkを構成するうえで、歯間乳頭の存在は健康的な歯周環境を示すランドマークとなり、歯間を満たすためにはある程度解剖学的な指標に則った補綴対処が必要になる。歯間乳頭への対応は生物学的な幅径を遵守し、特に歯‐歯肉‐歯槽骨の適正な垂直的位置関係(Dentogingival Complex3)を念頭に置きながら、隣接面コンタクトポジションや歯間距離を設定しなければならない3、4。当然ながら、天然歯やインプラントにおける周囲組織の背景はそれぞれ異なるが、歯間乳頭を含め、歯肉の高さを保つ条件として、そこに骨の裏打ちがある程度なければならない。また、歯根間距離や排列状態によっても異なるが、Kois JCは歯槽骨頂から歯間乳頭頂までの距離は一般的に4.5mm~5.0mmの範囲にあると報告しており3、Tarnow DPは上顎中切歯間における隣接コンタクトエリアから歯槽骨頂までの距離を計測し、統計として5mmを越える場合、歯間乳頭の退縮リスクは高まり、ブラックトライアングルが発生する確率が高くなると報告している5(図3-3-11)。歯根間距離は一般的に2mm程度が理想的であるが、歯根間距離も乳頭の高さに影響を与える因子のひとつともなっている。これはインプラント修復においても同様で、インプラント間距離および粘膜貫通部における上部構造体の距離設定には細心の注意が必要である6、7(図3-3-12)。図3-3-11 Tarnow DPは上顎中切歯コンタクトエリアから歯槽骨頂までの距離を計測し、歯間乳頭の発生率を統計的に調査している(本図は参考文献4より引用して作成。原図は参考文献5より)。図3-3-12 インプラント間における歯間乳頭の骨頂からの再生距離(本図は参考文献7より引用して作成。原図は参考文献6より)。コンタクトエリアと骨頂までの距離歯肉骨頂7mm:73%の症例にブラックスペースが発生。6mm:44%の症例にブラックスペースが発生。5mm:ブラックスペースは発生しない。FGMCEJBWI<3mm<3mmFGMCEJBWI>3mm>3mm148

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