歯の外傷で小児が来院したら
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87CHAPTER 7「歯の硬組織損傷」の治療と術後経過① 歯冠破折FIG 10a, b 根管内洗浄の生理食塩水は,根管内を満たしつつ形成することで,削片の根管壁へのこびりつきを防ぎ,うきあがらせる.根管洗浄は根管内に圧力をかけずに生食を滴下し,吸引乾燥を根管長-2mmの範囲で行う.FIG 11a, b 水酸化カルシウムー水糊剤の調整法.「滅菌水:水酸化カルシウム粉末=1:2」の比率で,滅菌ガラス練板の上で練り合わせる.硬さのめやすは,洋菓子のホイップクリーム状である.⑥根管長測定6▲生理食塩水を根管内にみたし,#15ファイルを用いて「APIT15®」(長田電機工業)にて電気的根管長測定を行う(根尖指示値はAPEX)(FIG 9).⑦根管形成▲根管壁の過剰切削を避けるため,太いHファイル(#70など)を「根管長-1mm」で用いる.生理的食塩水を根管に入れて,湿潤状態で円周ファイリングを2周行う.また,ファイルには多くの削片が付着するので,3ストロークに1回はアルコールガーゼで削片を除去してから根管内に戻す(FIG 9).⑧洗浄および乾燥(FIG 10)▲生理的食塩水を洗浄に用いる.水圧で根管内容物を根尖孔外へ出さないよう,滴下する程度の軽圧で,洗浄を行う(次亜塩素酸ナトリウムは,根尖外に出ると腐骨を形成する危険性があり,用いない.使用する場合は,根尖閉鎖硬組織の形成後に限る).▲洗浄針は「根管長-2mm」以内で洗浄,バキュームに連結して吸引・乾燥する (根管充填前に根管内の乾燥状態を確認する際には,根管長に合わせたペーパーポイントを用いる) .⑨水酸化カルシウム糊剤を貼薬▲水酸化カルシウムと滅菌蒸留水(体積比2:1)を練和する(FIG 11).糊剤の硬さは,ホイップクリーム状とする.2mm根管内に圧力をかけずに生食を滴下する水酸化カルシウム粉末滅菌水滅菌水:水酸化カルシウム粉末 =1:2aabb

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