ホームドクターによる小学校2年生までに始める拡大床治療
7/10

114Chapter4 拡大床治療の実際拡大床治療後はどうするのか(リンガルアーチ)10きれいな永久歯列に導くために   拡大床治療で上下の4切歯がきれいに並んでも,その後に何もしなければきれいな永久歯列にはならない.通常は,リンガルアーチに移行して側方歯群交換期を迎えるのがよい.上下4切歯のみに舌側からワイヤーのリンガルリテーナーを接着するだけでは,側方歯群交換期の交換順や後継永久歯の萌出遅延・萌出位置異常などで第一大臼歯の近心移動が起こってしまい,最後に萌出してくる犬歯や小臼歯のスペースが不足してしまうことがある.そういったことを予防する意味で,リンガルアーチを装着しておくと,安心してその後の経過を見ていくことができる. また,拡大床での拡大が間に合わず,上下4切歯がきれいに並ぶ前に第二乳臼歯の交換期を迎えてしまう場合もある.そのような症例ではQH・BHに移行して歯列の拡大に移行する.それまで拡大床治療をまじめに続けてきているのであれば,それほどの拡大量は必要ないので,QH・BHで拡大することも十分可能である.また,前歯部の前後的位置関係も調整することができるので,最終的な微調整を行うにも有効である.その後はQH・BHを保定装置として使用するか,経済的に余裕があればリンガルアーチに移行して,第二大臼歯が萌出するまで装着しておく.ab図1a,b 拡大床治療が終了しても,そのまま保定を行わないでいると叢生を再発してしまうので,しっかりと保定しておく必要がある.保定には固定式のリンガルアーチが有効であると考えている.リンガルアーチの製作方法は,第一大臼歯のサイズに合わせたバンドを試適し,上下のアルジネート印象を行う.写真はバンドを試適したところ.リンガルアーチの製作方法

元のページ  ../index.html#7

このブックを見る