歯科ITサービス入門
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16 ・・・ 巻頭企画▶ 予約システムのIT化 IT予約システムは今から10年以上前から普及し始めたIT化の事例である.弊社の顧問先歯科医院においては,およそ7割程度の医院がなんらかのIT予約システムを導入されているのが実態である. IT予約システムとは,従来の紙で管理していた予約簿をWeb上で管理できるようなソフトウェアのことである.IT予約システムにはいくつかの種類があり,それぞれ異なる機能を持っているが,共通して備えている機能があり,ここではそれを前提として述べる. IT予約システムは単に紙のアポイント帳がWeb上で管理でき,ビジュアル的に見やすくなる,ミスが減少するということ以外にもメリットが多いITシステムである.それは①新患の予約機能②既存患者へのメールでのお知らせ機能③患者データの集計機能といった点である.①新患の予約機能 新患の予約機能についてであるが,従来,歯科医院の予約は電話を患者さまにかけていただき,予約取得する形が一般的であった.しかし,予約システムの新患予約機能を利用することで,ホームページから新患の来院予約を取っていただくことが可能になり,増患効果があると同時に,患者からの予約電話数を減らすことにもつながり,スタッフの労働の軽減につながる.弊社の顧問先のある医院では,現在予約システム経由の新患予約が8割,電話経由での予約が2割程度に達している例もある.②既存患者へのメールでのお知らせ機能 従来,歯科医院では患者への連絡をハガキや電話を利用していたことが多かった.例えば定期健診の案内や治療を中断している患者への連絡である.これらは一定の効果を上げることができる媒体であるが,ハガキの場合は内容の作成や印刷,郵送コストが発生する.また医院によっては,スタッフの手書きメッセージを書いているケースもある.さらに,電話を患者にする場合は,電話代と電話をする時間コストが発生する. メールでお知らせする場合,こういった労力やコストを大幅に下げることが可能になる.また,予約日が登録されており,自動的に予約日の連絡がメール送付されるため,人がチェックをする必要がないというメリットがある.最近ではEメール自体を利用しない患者も増加しているため,SMS(ショートメールサービス)を利用してより確実に送付する機能も出てきている.図4 レセコンのメリット・デメリット.図5 電子カルテのメリット・デメリット.メリット・クラウドなどのバックアップシステムがあるので,災害時にもデータが失われる心配が少ない・紙カルテと比較すると保管スペースが圧倒的に少なくて済む(カルテ棚が不要)・往診時にも持ち運びが可能メリット・計算・算定ミスを基本的になくすことができ,返戻などの件数を減少できる・制度変更時にも即時に対応できるデメリット・一覧で確認できないため閲覧,検索性が紙と比較すると低いことがある・停電時に利用できないデメリット・災害等での停電時に使用できない・一定のコストが発生する

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