歯科ITサービス入門
1/6

14 ・・・ 巻頭企画1. 歯科界のIT化の現状 近年,歯科医院における大きな課題の1つとして,人材採用の難化が挙げられる(図1). 2020年3月頃から顕在化し始めた新型コロナウイルス(COVID-19)の影響により,一時的に人材採用はやさしくなってはいるが,大きなトレンドとして,人口減少の傾向は変わらないため,人手不足の状況は変わらないと予測している.また,資格職の1つである歯科衛生士の新卒採用においては求人倍率が20倍以上に達している(図2).このことは20件に1件しか新卒の歯科衛生士の採用ができないという現状を示している. このように採用環境が厳しくなっている背景から,近年歯科医院の給与水準は上昇傾向にある.例えば,東京都あるいは首都圏の新卒歯科衛生士の初任給は25~6万円が近年の水準であり,一般的な大卒の初任給よりも4~5万円高いという現象が起こっている. このことは歯科医院経営に大きな影響を与えている.具体的に言えば,従来よりも「生産性」を高める必要が出てきているということである.「生産性」とは「スタッフ1名あたり売上」あるいは「ユニット1台あたり売上」である.例えば,スタッフ5名で500万円の売上を上げているA医院と,スタッフ2名で500万円の売上を上げているB医院があった場合,A医院の生産性は100万円/人となり,B医院の生産性は250万円となる.表面上同じ売上をあげているのだが,A医院とB医院の経営状態はまったく異なり,B医院のほうが経営状態がよいため,より給与水準を高める余力があり,採用条件を向上させやすいと言える. 実はこのようなことは5年程度前の採用が容易であった時代はあまり考慮する必要がなかった.なぜならば,給与水準が今ほど高くなく,なおかつ求人を出せば採用が容易にできた時代であり,上記でいう「生産性」を意識する必要はなかったのだ.むしろ,生産性よりも売上の拡大を意識すべき時代だったと言えよう.しかし,2008年頃から日本の人口が減少しはじめ,今後も人口減少がさらに加速することが予測されている現在,歯科医院経営において生産性を最重要指標として運営すべき時代に変わったのである. さて,それでは,歯科医院が生産性を高めるためにどのような観点で経営をすればよいのだろうか.大きく分けて2つの観点がある(図3). 1つは売上を意識するのではなく,治療の利益率を意識した経営を行うことである.もう1つは,スタッフ1名あたりが行える業務の質と量を高めることを意識することである.本稿では後者について   報道関係者 各位 ○令和2年1月の有効求人倍率は1.49倍で、前月に比べて0.08ポイント低下。 ○令和2年1月の新規求人倍率は2.04倍で、前月に比べて0.40ポイント低下。  ※令和2年1月から求人票の記載項目が拡充され、一部に求人の提出を見送る動きがあったことから、    求人数の減少を通じて有効求人倍率・新規求人倍率の低下に影響していることに留意が必要。  (注) 1.月別の数値は季節調整値である。なお、令和元年12月以前の数値は、令和2年1月分公表時に新季節指数により改定されている。     3.文中の産業分類は、平成25年10月改定の「日本標準産業分類」に基づくもの。     2.文中の正社員有効求人倍率は正社員の月間有効求人数をパートタイムを除く常用の月間有効求職者数で除して算出しているが、        パートタイムを除く常用の月間有効求職者には派遣労働者や契約社員を希望する者も含まれるため、厳密な意味での正社員有効        求人倍率より低い値となる。Press Release一般職業紹介状況(令和2年1月分)  令和年月日(金)【照会先】職業安定局雇用政策課中央労働市場情報官森口(内線)(代表電話)()(直通電話)()厚生労働省では、公共職業安定所(ハローワーク)における求人、求職、就職の状況をとりまとめ、求人倍率などの指標を作成し、一般職業紹介状況として毎月公表しています。令和年月の数値をみると、有効求人倍率(季節調整値)は倍となり、前月をポイント下回りました。新規求人倍率(季節調整値)は倍となり、前月をポイント下回りました。正社員有効求人倍率(季節調整値)は倍となり、前月をポイント下回りました。月の有効求人(季節調整値)は前月に比べ%減となり、有効求職者(同)は%増となりました。月の新規求人(原数値)は前年同月と比較すると%減となりました。これを産業別にみると、製造業(%減)、サービス業他に分類されないもの(%減)、卸売業小売業(%減)、運輸業郵便業(%減)、宿泊業飲食サービス業(%減)などで減少となりました。都道府県別の有効求人倍率(季節調整値)をみると、就業地別では、最高は福井県の倍、最低は青森県の倍、受理地別では、最高は東京都の倍、最低は神奈川県の倍となりました。(有効求人倍率)倍(有効求人・有効求職)万人求人、求職及び求人倍率の推移有効求人倍率月間有効求職者数月間有効求人数図1 2009年頃より一般求人倍率は上昇を続け2019年をピークに高止まり傾向が続いている.出所:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和2年1月分)」1

元のページ  ../index.html#1

このブックを見る