38021 | インプラントの成功率を高めるための軟組織のマネージメント21 | インプラントの成功率を高めるための軟組織のマネージメント380術後プロトコル2週間後に縫合糸を除去し、その間に患者は1日3回0.12%クロルヘキシジンを用いた消毒剤含嗽薬による化学的プラークコントロールのみを行い、術野に1分間適用する。移植片の良好な外科的安定化は、その後の寸法安定性における重要な因子である。移植片が受容床に正確に適合し、可動性がなく、移植片と骨膜床との間の血液凝固物の厚さを最小限に抑えた状態なら、治癒の最初の数週間に術後の収縮は最小限に抑えられる。最初の2週間後、患者は治療部位をウルトラソフトの歯ブラシで4週間磨き、クロルヘキシジンベースの含嗽剤を1日2回使用する。ブラッシングは、ブラシの毛を軟組織と接触させて垂直方向に回転させるロール法で行う。その後2ヵ月間は、患者はソフト歯ブラシを使い、クロルヘキシジンによる洗口を1日1回行う。手術の約4ヵ月後に、患者はミディアム歯ブラシの使用を再開し、クロルヘキシジン含嗽薬を中止し、歯間部の清掃(スーパーフロス〔Oral-B〕の軟らかい部分を使用)を開始する。軟組織の成熟を邪魔しないように最初の4ヵ月間は背の高いヒーリングアバットメント以外は補綴装置を装着しない(図21-1m、21-1n)。スクリュー固定式クラウンを再装着する際に、軟組織の虚血を引き起こすある程度の圧迫が生じる。この虚血が数分以内に消失した場合は、補綴装置の調整をする必要はない。結果術後1年の追跡調査では、角化粘膜の明らかな増加と、既存のスクリュー固定式クラウンの良好な組織適合が認められた(図21-1o、21-1p)。この外科手技に関連した歯肉歯槽粘膜境の位置のずれおよび移植領域の色/表面性状が異なることが理由で、遊離歯肉移植の適応を審美的価値の低い領域に限定する。頬側角化粘膜の高さと厚さの増加は、前庭の深さの増加をともなう。これらの状態は、ブラッシング時の不快感を軽減し、より良い口腔衛生維持と患者のプラークコントロールの改善に貢献する。図21-1(続き) (j〜l)外側性垂直マットレス縫合のイラスト。(m、n)角化粘膜と口腔前庭の深さの増加を示す4ヵ月後の頰側面観と咬合面観。(o、p)1年後の経過観察時の口腔内写真とX線画像。口腔内X線は、インプラント周囲の骨レベルの安定を示す(Dr. Mauro Fadda〔イタリア、ボローニャ〕による補綴治療)。jklmnop21 | インプラントの成功率を高めるための軟組織のマネージメント
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