増補新版 インプラントセラピー
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339下顎臼歯部における垂直的骨増生術Zone IZone IIZone IIIMylohyoid lineMylohyoid muscleHyoid boneトで注意深く舌方向へ押して行く(図18-2b)、これにより筋の付着を外すことなく最小限の侵襲で筋線維の上部からフラップを分離できる。•ゾーンⅢ:前方部、半鈍的骨膜減張。顎舌骨筋の付着が深部にある小臼歯部領域において、フラップの剥離翻転はゾーンⅡより深くすべきでない。半鈍的骨膜切開は15番のメスを90度回転させて、スィープモーション(ゾーンⅢ)で中央ゾーンの状態にする(ゾーンⅡ)。この操作はゾーンⅢに柔軟性を与え、フラップのマネージメントが適切でない場合に起こり得る術後の創の裂開を防ぐことができ(図18-2c)、適切に行われたならば、十分なフラップの減張により初期閉鎖を達成することが可能となる(図18-2d)。このテクニックを従来の舌側フラップテクニックと客観的に比較した場合、テストグループ(改良型テクニック)の垂直的伸展度の平均増加量はコントロールグループ(従来のテクニック)より、ゾーンⅠ(臼後パッドエリア)、ゾーンⅡ(中央部エリア)、ゾーンⅢ(小臼歯部エリア)のそれぞれで8.27 mm(標準偏差:1.794、標準誤差:0.5409)、10.09 mm(標準偏差:2.948、標準誤差:0.8889)、10.273 mm(標準偏差:2.936、標準誤差:0.8851)で、すべてのゾーンにおいて強い統計学的有意差(P<.0001)が認められた(図18-3~18-5)。図18-1 イラスト(a)、解剖検体(b)ゾーンⅠ、Ⅱ、Ⅲと下顎骨体内側の顎舌骨筋の走行を示す。図18-2 (a)臼後パッドの剥離(ゾーンⅠ)。(b)鈍的なインスツルメントを使用し顎舌骨筋の上部筋線維の位置まで軟組織を注意深く剥離する(ゾーンⅡ)。(c)フラップの前方部においては15Cのメスの背面(メスを90度反転)を用いて骨膜表層を半鈍的に減張を加える(ゾーンⅢ)。(d)垂直的フラップ減張のデモンストレーション(約20 mm)。abcdab

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