27814 | 歯槽頂アプローチによる上顎洞底挙上術の手順1.歯槽頂中央部に切開を加え全層弁で剥離する。2.直径2.0 mmのラウンドバーでインプラント埋入部位を骨に印記し、上顎洞底から0.5〜1.5 mmの深さまでインプラント埋入窩を形成する。3.オステオトームを使用して埋入窩の直径と垂直方向を拡大し、上顎洞底骨を上方に押し上げる。しかし、オステオトーム自体は上顎洞内には挿入しない。4.オステオトームで埋入深度におけるインプラント先端部の最終的な直径を形成したのち、上顎洞底挙上を行う。つまり、もっとも大きなオステオトームで埋入窩を拡大した後、上顎洞底は最後のオステオトームで挙上する。5.埋入窩の拡大を、直径を少し大きくした凹型のオステオトームによって終了する。6.2〜3 mm拳上するように骨移植材料を追加して若木骨折を行う。7.槌打して1 mmずつオステオトームの先端を進ませる。オステオトームが進まない場合、術者は直径の小さなオステオトームに戻るか、ドリルを使用する必要がある。このテクニックへのさらなる改良として、将来のインプラント部位の増生にオステオトームを使用する、トレフィンバーで骨栓を製作し、直径の大きなオステオトームにより骨栓を上方に移動させる2,5、といったものがある。リーマーアプローチ経歯槽頂上顎洞骨増生キット(SCAキット、Neobiotech社)は、歯槽骨切削を容易にし、上顎洞粘膜への外傷または穿孔を回避するために開発された(図14-3)。このアプローチに特有の特徴の1つは、リーマーの使用である。リーマーは軟組織を損傷せずに骨のみを切削する。埋入窩形成が上顎洞粘膜に近接するときにリーマーを使用する。それより、元来のtSFEアプローチ時の追打による衝撃を回避できる。このため、残存歯槽骨高径の正確な分析が必要である。残存歯槽骨高径、ドリルの手順、および上顎洞底形態を正確に評価するには、CBCTを使用した術前計画が必要である。以下に、この手法の簡潔な説明をする(図14-4)。1.全層弁の挙上のため、歯槽頂中央部に切開を行う。その後、頬側と口蓋側に弁の展開を補助するための縫合を行う。2.直径2.0 mmのラウンドバーでインプラント埋入部位を骨に印記し、最初の2つのオステオトームドリル(幅2.8 mmまで)で上顎洞底から1.0 mm手前の距離まで形成する。3.上顎洞底の骨折が感じられるまで、2.8 mmのリーマー(SCAキット)を状況に合わせたストッパーを用いて挿入する。4.上顎洞底の骨折後、ゲージを使用して上顎洞粘膜が全周持ち上げられていることを確認する。5.続いて、骨移植材料(小顆粒〔250〜850μm〕のヒト他家骨または異種骨移植材料)を挙上スペースにボーンキャリア/ボーンコンデンサー(SCAキット)または オステオトームを槌打することで填入する。これらの器具は上顎洞に入れないことが大切である。図14-3 ミシガンリーマーtSFEテクニックのイラスト。(a)皮質骨を穿孔し埋入窩形成を開始するラウンドバー。(b)垂直的な形成を上顎洞底から0.5〜1 mmまでに制限するためドリルガイドスリーブを使用した追加ドリル。(c)非切削ドリルにより残りの上顎洞底までの距離を形成する。(d)骨移植材料を押し上げ垂直的な上顎洞挙上に使用するオステオトーム。(e)上顎洞粘膜の水平的な拡大に使用されるボーンスプレッダー。(f)後続の一連のドリルによりインプラント埋入窩直径の増大が可能である。(g)この手順により、適切な初期固定を伴うインプラントの埋入が可能である。abcdefg14 | 歯槽頂アプローチによる上顎洞底挙上術の手順
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