周術期等口腔機能管理の実際がよくわかる本
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3秦 浩信独立行政法人国立病院機構 北海道がんセンター歯科口腔外科医科⇔院内歯科⇔開業歯科の連携例病院歯科での周術期等口腔機能管理における医科歯科連携98医科における周術期等口腔機能管理の意義医科⇔院内歯科(院内完結)の連携例医科⇔院内歯科⇔開業歯科の連携例医科(歯科なし)⇔他施設(開業歯科)の連携例 従来,病院歯科は地域歯科診療所からの依頼を元に口腔外科疾患において専門性を発揮し地域に貢献する,という二次医療機関としての役割を担ってきた.加えて周術期等口腔機能管理も2012年4月の保険収載以降,病院歯科診療の新たな柱として取り組む施設が増加してきている.つまり地域歯科診療所からのニーズに対応すると同時に,院内の医科診療科からの新たなニーズに対しても適切な対応を求められている.この新たなニーズにより,歯科医師や歯科衛生士の増員採用につながった施設ばかりではない.病院歯科に求められる役割は地域性,病院の特性,歴史的背景等で施設ごとに異なるため,この数年は限られたスタッフの人員,診療台数のなか,試行錯誤で“口腔外科診療”と“周術期等口腔機能管理”の最良のバランスを模索してきた病院歯科が多いものと思われる. 都道府県がん診療連携拠点病院(以下,都道府県がん拠点病院)は全国に51施設あるが,現在歯科診療科がない病院は存在しない.がん専門病院では14施設中10施設において歯科は単科で存在し,周術期等口腔機能管理に特化した診療を行っている施設が多い.当院は周術期等口腔機能管理を行う科(歯科口腔外科)と口腔がん治療を行う科(口腔腫瘍外科)の2科が存在し,完全に分業している(図2)2. 2018年度の新患数の内訳では,口腔腫瘍外科は84%が他院からの院外紹介患者であったのに対し,歯科口腔外科は95%が院内紹介患者であり,当院における2科の明確な役割分担を示している(図3).口腔がん治療を含めた“口腔外科疾患治療”と“周術期等口腔機能管理”を2科で分業できることは,上記のような診療バランスに悩むことなく,がん専門病院において歯科の専門性を高いレベルで発揮するために大きなアドバンテージである. 周術期等口腔機能管理は医科からの依頼があってはじめて開始されるため,院内連携の依頼件数を増やすための院内のシステムづくりに取り組む施設は多い3〜5.周術期等口腔機能管理のサステナビリティ(持続可能性)を考慮した場合,地域歯科診療所への病診連携についても目を向けていく必要がある.1病院歯科の院内医科歯科連携(①院内連携)のあり方 本稿では当院で行っている①〜③の3つの医療連携について図11に沿って順に解説する.連携登録歯科あるいはかかりつけ歯科各診療科(医科)歯科病院①院内連携②後連携③前連携歯科医院院内連携の充実とともに院外連携へも目を向ける必要がある.(文献1より引用改変)図1 北海道がんセンターの3つの医療連携

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