周術期等口腔機能管理の実際がよくわかる本
4/6

がん手術と口腔衛生管理心臓手術と口腔管理脳卒中手術と口腔管理臓器移植手術と口腔管理人工関節手術と口腔管理頭頸部がん放射線治療と口腔管理がん薬物療法と口腔管理人工呼吸器関連肺炎と口腔管理顎骨壊死と口腔管理緩和ケアと口腔管理 がん手術と口腔衛生管理心臓手術と口腔管理脳卒中手術と口腔管理臓器移植手術と口腔管理人工関節手術と口腔管理頭頸部がん放射線治療と口腔管理がん薬物療法と口腔管理人工呼吸器関連肺炎と口腔管理顎骨壊死と口腔管理緩和ケアと口腔管理978 ビスホスホネート製剤やデノスマブ製剤などの骨吸収抑制薬は,骨粗鬆症患者の骨折予防,がんの骨転移や多発性骨髄腫患者に広く用いられている.しかし重大な有害事象の1つとして,薬剤関連顎骨壊死(MRONJ:Medication-Related Osteonecrosis of the Jaw)の発症が問題となっている.MRONJの発症頻度は近年増加しており,とくに高用量の注射骨吸収抑制薬が投与されているがん患者では,発症率が高い.1MRONJの治療法 MRONJの治療法については,以前は骨吸収抑制薬を休薬したうえで洗浄や抗菌薬投与などの保存的治療を行うことが第一選択と考えられていたが,近年では外科療法を推奨する報告が多くみられる.日本口腔外科学会など関連6学会による「骨吸収抑制薬関連顎骨壊死の病態と管理:顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2016」1では,ステージ2(感染をともなう骨露出)に対する具体的な治療法として,抗菌性洗口剤と抗菌薬の併用,難治例では複数の抗菌薬併用療法,長期抗菌薬療法,連続静注抗菌薬療法などの保存療法と並んで,腐骨除去,壊死骨掻爬,顎骨切除などの外科療法についての記載がある. 筆者らは多施設共同研究において361例のMRONJを収集し,MRONJの治療法としては保存療法より外科療法のほうがすぐれていること,外科療法の術式としては壊死骨のみの切除よりも周囲骨を含めた切除のほうが治癒率が高いことを報告した(図1)2. 壊死骨部には血行がなく抗菌薬は移行しないため,抗菌薬投与のみで治癒することは稀である.したがって保存療法とは,抗菌薬により病変の拡大を防ぎながら,骨吸収抑制薬を休薬することにより骨のリモデリングの回復を待ち,腐骨分離がみられたら腐骨を除去するというのが治療の方針である.しかし保存療法は外科療法に比べて治癒率が低いだけではなく,腐骨分離まではかなりの長期間を要することから,長期間にわたり患者のQOLが低下すること,長期間の骨吸収抑制薬休薬による原疾患への1薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)図1 MRONJ の治療成績(8施設 361 例の検討)兒島由佳関西医科大学歯科口腔外科顎骨壊死と口腔管理保存療法(n=202)治癒25.2%59.2%6.9%7.6%60.3%51.5%39.4%7.6%1.5%25.2%94.6%3.2%16.9%19.7%4.2%2.2%骨粗鬆症(164 例)悪性腫瘍(197 例)10.9%76.7%18.2%46.0%17.8%改善不変悪化4.4%0.6%外科療法(n=159)保存療法(n=83)外科療法(n=95)外科療法(n=70)保存療法(n=130)

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る