周術期等口腔機能管理の実際がよくわかる本
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がん手術と口腔衛生管理心臓手術と口腔管理脳卒中手術と口腔管理臓器移植手術と口腔管理人工関節手術と口腔管理頭頸部がん放射線治療と口腔管理がん薬物療法と口腔管理人工呼吸器関連肺炎と口腔管理顎骨壊死と口腔管理緩和ケアと口腔管理第2章 周術期等口腔機能管理の実際27図7 ブラッシングに使用するグッズ用が低下している場合は作用時間を延長する.頻度については嚥下機能・自浄作用のレベルにより異なるが,可能な限り頻回に行うことが望ましい(たとえば1時間に1回~3時間に1回).(2)ブラッシングの手技 医療者によるブラッシングを行う場合,ブラッシングにより生じる汚染物の口腔内への飛散を防ぐことを念頭におく.ブラッシング中だけでなくブラッシング前にまずライトを用いて口腔内の粘膜・歯の状態や汚れをよく観察し,可能な限りもっとも汚れている部位から清掃を始める.ブラッシングに使用するグッズを図7に示す.①保湿剤 口腔粘膜へのダメージ軽減や,ブラッシング時の汚染物飛散を予防することを目的に,まず口腔内に保湿剤を塗布する.乾燥がある場合は易出血性であるため,とくに留意し,口唇への塗布も行う.②歯ブラシ③歯間ブラシ,デンタルフロス 歯間ブラシやフロス時は,用具に付着した汚れをガーゼなどでふき取りながら行う.④タフトブラシ 開口量が乏しい場合や易出血性の場合は,タフトブラシを用いて歯頸部のブラッシングを行う.その際,毛先に付着した汚れは頻回にふき取り,歯ブラシと同様に含嗽剤に浸し,水分調整を行いながらブラッシングする.⑤ガーゼ,スポンジブラシ,口腔ケア用ウェットティッシュ 最初に含嗽剤で湿らせて使用する.歯科疾患の予防だけでなく,周術期においては歯周病が感染源となることを念頭に,歯周病予防に有効なブラッシングを行う.汚染した歯ブラシは適宜含嗽剤ですすぎ,乾ガーゼなどで水分調整を行ってブラッシングをする.可能な場合は吸引器を併用し,汚染物の飛散予防を行うことが望ましい. ガーゼはブラッシング中も口腔内の汚れや使用道具のふき取り,水気の調節に使用する.含嗽が難しい場合,ブラッシング中も頻回に口腔内清拭を行う(歯列1ブロックごとなど).スポンジブラシは含嗽剤に浸し,ガーゼで水分調整して用いる.ケア中の汚染したスポンジブラシは,水入りコップまたは流水下ですすいで汚れを除去し,再度含嗽剤に浸す.ガーゼで水分調整を行い,これをくり返す.吸引器を併用することが望ましいが,難しい場合は固くしぼったスポンジブラシで口腔内の水分の除去を清拭中に適宜行い,水分の誤嚥に注意する.ケア終了時は口唇周囲もウェットティッシュ等で清拭し,口腔内・口唇に保湿剤を塗布する.可能な場合は最後に嚥下を促す.

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