がん手術と口腔衛生管理心臓手術と口腔管理脳卒中手術と口腔管理臓器移植手術と口腔管理人工関節手術と口腔管理頭頸部がん放射線治療と口腔管理がん薬物療法と口腔管理人工呼吸器関連肺炎と口腔管理顎骨壊死と口腔管理緩和ケアと口腔管理 がん手術と口腔衛生管理心臓手術と口腔管理脳卒中手術と口腔管理臓器移植手術と口腔管理人工関節手術と口腔管理頭頸部がん放射線治療と口腔管理がん薬物療法と口腔管理人工呼吸器関連肺炎と口腔管理顎骨壊死と口腔管理緩和ケアと口腔管理124 がん手術後にはさまざまな有害事象が発症するが,そのうち口腔内の微生物が原因となるものに手術部位感染(SSI: Surgical Site Infection,図1)や誤嚥性肺炎(図2)などの術後感染症がある.周術期等口腔機能管理には,これらの術後感染症の発症リスクを軽減することが求められる.口腔細菌に関連する術後感染症の発症機序には,口腔内の病原性微生物の直接暴露により生じる上部消化管がんや頭頸部がんのSSIおよび術後誤嚥性肺炎と,口腔感染巣からの血行/リンパ行感染により生じる口腔から離れた部位のSSIの2つが挙げられる. 「口腔内細菌の直接暴露」については,感染のリスクは微生物の病原性の強さと量に比例し,宿主の抵抗力に反比例すると考えられる.したがって口腔管 理の目的は,創部や肺に暴露する唾液中細菌量を減少させることである.一方,「口腔感染巣からの血行/リンパ行感染」については,米国疾病予防センター(CDC:Centers for Disease Control and Prevention)のガイドライン(以下「CDCガイドライン2017」)では,手術に際して同時に存在する遠隔感染巣はSSIのリスクとなることから,手術前に遠隔感染巣を治療しておくことが推奨されている1.したがって口腔管理の目的は,遠隔感染巣の代表である口腔感染巣を手術までに治療(あるいは抜歯)することである.心臓血管手術や人工関節置換術の際に,口腔感染巣を除去することが推奨されていることも同様の理由である.1がん手術時の口腔衛生管理の目的2がん手術時の口腔衛生管理の実際図1 口腔がん手術後の手術部位感染(SSI)図2 食道がん手術後の誤嚥性肺炎船原まどか九州歯科大学歯学部口腔保健学科がん手術と口腔衛生管理1唾液中細菌数の抑制 創部に暴露する,または誤嚥する唾液中の病原性微生物を減らすにはどのような口腔管理を行えばよいのだろうか? 筆者らが周術期患者,および挿管患者で行った研究では,術後には唾液中細菌数は増加しているが,歯垢や歯石の付着と唾液中細菌数の関連性はみられず,術後の絶食や経管栄養,あるいは挿管状態の患者では唾液中細菌数の量は有意に増加していることが明らかとなった(図3)2,3.すな
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