周術期等口腔機能管理の実際がよくわかる本
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8周術期等口腔機能管理の基本がわかるQ&A 厚生労働省「がん対策推進基本計画(第2期)」(2012~2016年度)において,「各種がん治療の副作用・合併症の予防や軽減など,患者のさらなる生活の質の向上を目指し,医科歯科連携による口腔ケアの推進をはじめ,食事療法などによる栄養管理やリハビリテーションの推進など,職種間連携を推進する」と記載されたことを踏まえ,2012年度の歯科診療報酬において「周術期口腔機能管理」が新設され,保険適用になりました. しかし,2012年度の保険導入当時には,口腔機能管理によりがん手術や放射線治療,化学療法時の有害事象のリスクが減少するのかどうかについて,エビデンスレベルの高い報告はありませんでした.その後,さまざまな研究により口腔機能管理の有効性が認められるようになり,がん・心臓・臓器移植手術,放射線治療,化学療法患者以外にも対象疾患が大幅に拡大され,現在では「周術期等口腔機能管理」の名称に変更されています.さらに診療報酬改定ごとに保険点数の増加などが行われるとともに,医科診療報酬上における評価も新設されました.これは医科で歯科介入の効果が認められ「医科歯科連携」が評価されたことによるものです. 実際の算定項目には図1のようなものがあります.また,歯科を標榜していない病院では,「診療情報提供料(Ⅰ)」においても歯科医療機関連携加算の対象手術の拡大がなされています.五月女さき子長崎大学大学院医歯薬学総合研究科口腔保健学分野/長崎大学病院口腔管理センター周術期等口腔機能管理の基本がわかるQ&Aがん等の治療による合併症の予防のために設けられた歯科診療報酬項目で,治療前後の患者さんのQOLを維持し,よりよい生活を送るために不可欠なものですA周術期等口腔機能管理とは?Q 1周術期等口腔機能管理計画策定料 300点(1回限り)  一連の口腔機能の管理計画の策定を評価周術期等口腔機能管理料(I) 手術前 280点(1回限り) 手術後 190点(3か月以内計3回限り)  主に入院前後の口腔機能の管理を評価周術期等口腔機能管理料(Ⅱ) 手術前 500点(1回限り) 手術後 300点(3か月以内月2回限り)  入院中の口腔機能の管理を評価周術期等口腔機能管理料(Ⅲ) 200点(月1回限り)  放射線治療や化学療法,緩和ケアを実施する患者の口  腔機能の管理を評価周術期等専門的口腔衛生処置1  92点(         )周術期等専門的口腔衛生処置2 100点※(1回限り)※口腔粘膜保護材(1本あたり766点 60,113頁参照)は別に算定可  周術期等における入院中等の患者への歯科衛生士による  専門的な口腔衛生処置を評価【以下は医科の算定項目】診療情報提供料(Ⅰ) 歯科医療機関連携加算1 +100点  歯科を標榜していない病院が,手術前に周術期口腔機  能管理の必要性を認め,歯科保険医療機関に対して情  報提供を行った場合に医科側に加算診療情報提供料(Ⅰ) 歯科医療機関連携加算2 +100点  手術を行う歯科を標榜していない病院から,患者に十  分な説明のうえ,同意を得て歯科保険医療機関へ受診  日の予約を行った場合に医科側に加算(上記加算と併算  定可)周術期口腔機能管理後手術加算 +200点  周術期口腔機能管理の実施後1か月以内に手術を実施  した場合,手術を行った医科側に加算図1 「周術期等口腔機能管理」の主な算定項目(2020年4月現在)周Ⅰ,Ⅱ:術前1回,術後1回周Ⅲ  :月2回限り

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