「舌が痛い!」という患者さんが歯科医院に来院した時に読む本
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2「舌が痛い!」という患者さんが歯科医院に来院した時に読む本2こんな患者さんは来ませんか? Prologue図A患者さんはさまざまな表現で,舌の痛みを訴える要がありますが「歯の痛みならお手のものだけど,舌の痛みの対応には自信がないなぁ......」と感じ(図B),十分な診察を行わずして高次医療機関を紹介してしまうことはないでしょうか? 歯の痛み同様,舌の痛みもさまざまで,もちろん一般の歯科医院では対応が難しい場合は,高次医療機関を紹介するなどの対応が必要です.しかしその一方で,一般の歯科開業医であっても適切な治療が行えることも少なくありません.そのいずれにしても重要なのは初期対応,すなわち舌の痛みに対する基礎知識を踏まえての適切な医療面接(問診),診察と検査,そして診断であり,これは一般の歯科医院が受け持つべきものではないかと筆者らは考えています. そのような考えの下,本書は,「舌が痛い」と訴えて歯科医院に来院する患者さんが有するさまざまな病態に適切に対応できることを目的にまとめられたものです.舌の痛みは器質的な疾患が原因であったり,神経・中枢が原因,あるいは心理社会的なもの 「ズキズキ...ヒリヒリ...ピリピリ...チリチリ...ザラザラ......」,あるいは「シミル...シビレル......」など,患者さんは舌の痛みをさまざまに表現し,訴えてきます(図A).口腔内で,痛みの表現がもっとも多彩になされる部位が舌だといっても過言ではありません.また,「痛くて食事ができない...話す時にツライ...食べ物の味がおかしい...痛くて何もできない......」など,具体的な状況を交えて訴えてくることもあるでしょう. 患者さんは舌の痛みを自覚すると,耳鼻咽喉科や内科などを受診することもありますが,舌は口腔内にあるため歯科医院を訪れることも多いようです.また,「銀歯を入れてから...インプラントをしてから......」など,その舌の痛みを,われわれ歯科医師が行った歯科治療と関連付けて,あるいは歯科治療が原因ではないかと疑って歯科医院を訪れる場合も少なくないと思います.その場合,舌の痛みの原因が何であれ,歯科医師は何らかの初期対応を行う必シビレルヒリヒリズキズキシミル

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