基礎と臨床がつながる歯周解剖
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本症例は最近のもので長期の経過はないが、新しい治療法を選択したため術式を紹介する。患者は歯科医療従事者で医学的知識があることから、以前より下顎前歯部の歯肉が薄いことを気にしていた(a)。部分層弁剥離後、口蓋から移植片を採取した(b、c)。本症例では最初に上皮付きの移植片(FGG)を通常よりも0.5mm程度厚めに採取し、口腔外で上皮をピーリングして結合組織移植片とした(d〜f)。移植片は、深部(上皮のない面、d)では生理食塩水を滴下しても水滴を弾かないが、表層(上皮のある面、e)では滴下した生理食塩水が弾かれることから、両面の判別は容易である。また、上皮に角化指令を出せる能力があることから、ピーリングした後は(f)の面を上面にして設置するほうがよい(g)。その後、歯肉弁を歯冠側に懸垂するように、懸垂縫合でフラップを閉鎖した(h)()。粘膜の厚みが不足しているポンティック部に対し、顎堤増大術(ローテーションフラップ)を行った症例(a)。欠損顎堤部に厚みのある角化粘膜が存在する場合には、「コの字」形に粘膜を剥離して上皮をピーリングした後、フラップを反転(ローテーションフラップ)し固定する(b)。粘膜がなくなったポンティック基底部は、即時重合レジンを添加してオベイトポンティック形状を与えておくと、粘膜は自然とその形態に準じた形状に治癒する(c)。術後2年が経過しているが、ポンティック部はクリーピングにより歯根が存在しているかのように見える(d)。図2-50 CTG採取の工夫(FGGからCTGへの切り替え)図2-51 ポンティック部における顎堤増大術(ローテーションフラップ)()cbbhefagdad術後2年c術後2週72

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