基礎と臨床がつながる歯周解剖
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 歯肉溝内に存在するヘアピンループを有する毛細血管は、実際の臨床でも観察することができる。支台歯形成した歯の周囲を観察すると柵状の毛細血管が存在する(図1-16)。ただしこのような状態を観察しようとするならば、歯肉溝周囲組織を損傷しないように慎重なプレパレーションが求められる。このような柵状構造の毛細血管は天然歯のみならず、インプラント周囲にも存在しており(図1-17)、こうした血管構造が観察できる場合にはインプラント周囲組織が健全であると判断してもよい。 さらに、ポンティックにおいても同様の構造をした柵状毛細血管は存在しており(図1-18)、臨床的に健全であるという前提であれば、歯肉溝付近の毛細血管構造は天然歯であろうとインプラントやポンティックであろうと大きな違いはない。また、インプラントはポンティックの延長線上とも考えられ、簡単に言えば、陥凹部の底にインプラント体があればインプラント、インプラント体がなければポンティックというイメージである。 また、特殊な顕微鏡で歯肉の毛細血管を観察すると(図1-19)、歯肉頂部はヘアピンループを有する柵状の毛細血管が存在し、付着歯肉(角化歯肉)の高さがない毛細血管とは明らかに構造が異なることがわかる。図1-16 支台歯形成時に観察された歯肉溝内の毛細血管図1-17 インプラント周囲に観察された毛細血管図1-18 ポンティック部に観察された毛細血管図1-19 歯肉の毛細血管(顕微鏡下)歯肉頂部遊離歯肉部付着歯肉部ヘアピンループがある(矢印)24

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