診断掌蹠膿疱症と掌蹠膿疱症性骨関節炎(胸鎖関節炎) 真菌直接検鏡は陰性であり,新旧混じる膿疱の多発と鱗屑,胸鎖関節炎の合併より,掌蹠膿疱症および掌蹠膿疱症性骨関節炎と診断した.歯性病巣検索口腔内診断名:中等度~重度辺縁性歯周炎,多数歯う蝕.口腔内所見(図4)・全顎的に中等度~重度の辺縁性歯周炎を認め,3~6mmの歯周ポケットあり.・₅および₆,₄および₇,₆に残根状態の慢性根尖性歯周炎あり.₇はC3(う蝕症第3度)であり,エックス線画像にて慢性根尖性歯周炎が疑われる.・₅にも根尖病巣(慢性根尖性歯周炎)が認められるが,実寸で2 mm以下と小さい.治療と経過 歯性病巣感染による掌蹠膿疱症および胸鎖関節炎と考え,歯科治療を治療の主軸とし,皮膚症状,骨関節症状の対症療法として前医の外用療法の継続と非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の内服とした.歯科治療の方針①根尖性歯周炎を伴う残根歯の抜歯(₆₅,₄₇,₆₅ )②根管治療が困難な根尖病巣を有する歯の抜歯(₇) 本来であれば根管治療を行うところであるが,遠心根の歯髄が根尖部で分岐しており,確実な根管治療は困難と判断した.図4 パノラマエックス線所見.全顎的に中等度~重度の辺縁性歯周炎がある.₅および₆,₄および₇,₆に残根状態の慢性根尖性歯周炎がみられる.₇はC3(う蝕症第3度)であり,エックス線画像上,慢性根尖性歯周炎が疑われる.₅の根尖病巣(慢性根尖性歯周炎)は,実寸で2mm以下と小さい.図5a,b 抜歯後3週目にみられたid反応.a:両手掌,両足底の膿疱,紅斑が急速に悪化している.b:手指の爪母に一致して腫脹と発赤を認め,圧痛を伴っており,左小指DIP関節にも圧痛と腫脹を認める.ab₆₅₄₇₅₆₇Chapter5 実際の症例から学ぼう!115
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