その皮膚疾患 歯科治療で治るかも
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呼吸について まず「口呼吸とは,吸う息も吐く息も,ともに鼻から行われるべきものであるが,それをどちらかでも慢性的に口で行う状態のこと,さらに習慣性開口による口腔粘膜乾燥も含める」と定義する. 私たちは1日に約2万回呼吸をしているといわれる.1週間で14万回,1年間では何と730万回にもなる.絶えず呼吸をし続けることは,私たちが生命活動を維持することに必須である. 呼吸における,口腔の役割を考える.安静時の呼吸は,成人では1回換気量500ml,呼吸回数12~15回程度である.分時換気量は6~7Lであるが,これが4倍程度に増えると,抵抗の少ない口呼吸に移り変わる.口腔は,咀嚼・嚥下,発声などの重要な機能を持つと同時に,鼻閉,上気道の炎症時には,気道の一部としての役割も担う.鼻呼吸の利点は ヒト本来の呼吸法である鼻呼吸の利点を表1に示す.  鼻の重要な役目は,空気の乾燥と温度変化から体を防ぐことにつきる.複雑に入り組み血流が豊富な鼻甲介や鼻中隔は,つねに適度な湿度を保ち,冷たく乾燥した空気が取り込まれると,速やかに深部体温近くにまで加温することができる.口呼吸では,冷たい空気はそのまま気管から肺に到達し,気管支の収縮を起こす.また,鼻毛や粘液で,空気中の小さな塵(スギ花粉の大きさは,0.03mm程度)が肺に入るのを防いでいる(図1).当然,口呼吸では直接小さなホコリが,肺に到達してしまう.鼻の穴は,左右に分かれていて,それぞれが,数時間ずつ休んで交代で働く(ネイザルサイクル).これも,防御の上での一翼を担っており,口はもちろん,篩いになっていないため,口呼吸では口腔粘膜の回復の機会は与えられない.口呼吸の為害性 口呼吸をすると,口が渇き,ドライマウス(口腔乾燥)となり,ドライマウスでは,虫歯や歯周病が悪化し,なめらかな発語もできなくなる.また,慢性的な口呼吸があると定期的に歯科治療を受けていても,ミュータンス菌や歯垢が増えるという報告もある2.オーラルケアにおいて「口を閉じておくこ①ゴミや塵,アレルゲンなどの除去,濾過②加温,加湿など外気の調節,調整③気道抵抗の確保④細菌やウイルスの不活化⑤呼気中の水分奪取⑥ネイザルサイクルの存在表1 気道としての鼻腔《鼻呼吸の場合》 鼻甲介 副鼻腔で温められ 加湿された空気が肺に入る 繊毛や粘液で異物を濾過《口呼吸の場合》 乾いた冷たい空気が肺に入るαレンサ球菌に対する 免疫寛容の破綻 CTLA-4発現低下ⅠCOS発現亢進β1インテグリン発現亢進T, B細胞の活性化 皮膚へのホーミング 増加T 細胞TB細胞 CLA T 細胞β1インテグリン T細胞CCR6 T 細胞+++抗αレンサ球菌抗体抗ケラチン抗体抗熱ショック蛋白抗体 Eセレクチン VCAM1CCL20の発現 膿胞の形成 組織傷害を高める)。 えてみると・・・囲ストレスが多かったり生活習慣が乱れていると許容量が小さくなる 化学物質有害な金属間違った食生活析Pd, Sb, Ga②①①2345⑥④⑤6⑦Ni, Cr, Cu, Si, Mn. (Fe)Column72今井一彰福岡県開業:みらいクリニック1.内科医師とのかかわり①:鼻呼吸について他科から歯科に伝えたいこと

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